カットして完成したら綺麗な黒鍵になりました。途中のヘンテコな色はなんだったんだろ 楽譜制作:かきむき様
赤パームオイルは鮮やかな朱赤で人参の香り。(私の感想)カロテンが豊富でビビッドなビタミンカラーは元気が出る綺麗な色。
なのですが容器に色移りするのでついつい敬遠しがちです。黄色く変色した型容器で石けんを作ると、型についた黄色が次の石けんに又戻ってくるのでデザインが台無しになることも。
そういう訳でなんとなく手付かずのままであっという間に期限切れになってしまうのでした。
汚れを落とすための石けんを使って布巾やシンクに色がつく、という本末転倒な事になるのも避けたいですし。(表面が磨耗したホウロウのシンクは色素が染みやすい)
「期限切れオイルが本格的に傷む前に早めに使い切ってしまおう」と本来なら入れない作品にあえて投入してみました。
久しぶりに作りたくなったピアノ石けんの黒鍵部分は活性炭パウダー(Activated charcoal powder)で黒く着色するのですが、ベースの生地に使ってみました。
具材として入れた黒鍵の周りに黄色がじんわり出てくるのを狙ったのですが、具材作成時に、真っ黒になると思っていた生地の色はなんだか深緑の泥みたいな色。遥かに遠い昔の図画の時間、絵の具を混ぜていてそういう色になったような。すっかり忘れていました。
黒鍵はいつもの型の6分めぐらい、430gの生地に炭パウダーを混ぜて作ります。今まではオーブンで加熱して即石けんにしてから翌日カットしていましたが、今回は初めて室温放置で半日置き、一晩冷凍庫に入れて型出し、カットしてみました。
石けんにしてからカットすると底が膨らんだりしていて安定が悪く、包丁でカットする時石けんが逃げて上手くいかない事が多かったのでやり方を変えてみたのです。加熱完成した石けんの底が歪む事があるのはポリプロピレン製の型の欠点でもある反面、木やアクリルと違い、力を加えるとある程度たわむのが型出しの時には便利です。ちなみにシリコン型はオーブン加熱するとなぜか石けんとの接触面に細かい気泡ができます。
今回は室温で半日置いただけの、まだ完全に石けんになっていない半ナマ石けん?なので冷凍しても型出ししにくく、カットすると包丁にねっちゃりと密着します。形を崩さずに包丁から剥がすのに時間がかかりましたが上手く10切れにカットできました。カットしたピースも完成石けんのようにしっかり形に仕上がっているのではなく、強く押すと変形する固めの粘土のようです。これで2ケース分ピアノ石けんができます。
これまで毎回、黒鍵部分を型の中でピアノ鍵盤のようにバランスよく配置する事に難儀していました。ベストポジションにセットしていても、いざ生地を流し込むとズレてしまいます。動かそうとしたら他のピースも一緒に動くし、どんどんズレていって手前側と奥側が平行にならないし。今回初めて隙間(白鍵部)にフォームボードでスペーサー(隙間のホルダー)を作り、差し込んで固定するようにしたら上手くいきました。
ヘーゼルナッツオイル も期限切れのため、使い切ります。私は黒鍵と次の作品用の黒生地、オレンジ系色生地をまとめて一緒に生地量750gで作りましたが、下記のレシピはピアノ2ケース用に書き換えました。ヘーゼルナッツオイル が無い場合は置き換え方法を参考にどうぞ。
作成中の写真は次回作の分も写っているかもしれません。
基本的な作り方は省略しますので、こちらを参照して下さい。
↑左下、Activated charcoal以外の色材は無視して下さい。
1日目、具材を作る
ピアノの黒鍵用 430g いつものダイソー型1つ分(ピアノ石けん2ケース分)
1枚目 瓶から出した赤パームオイル
2枚目 苛性ソーダ液は作って冷やしておく
3枚目 オイルを計量、溶かしブレンダーカップ内の空気を抜く
4枚目 苛性ソーダ液を全部入れる
5枚目 固まりやすいので少しづつ慎重にミックス
*基本の作り方を参考にして苛性ソーダ液、オイルの準備をする
活性炭パウダーはとても飛び散りやすいので、大きいボウルにパウダーを入れ、少量生地を被るくらい50g?入れて少しづつすり混ぜるといいかも。いつも通りにヘラについた生地だけで混ぜようとして周囲が黒粉だらけになってしまいました。
完成した黒生地を型入れ 型を台に軽く打ち付けて表面を平らにする 半日室温に置き冷凍庫で一晩冷やし固め、翌日型出ししました。
カットは方眼紙に石けんの幅に印をつけ、10等分になるように線を入れたものを利用
半ナマ石けんの上に置き、包丁で上端と下端に軽く切り目をつけて印をつけ、紙を外して端からカット。包丁は先の方よりも手前側を使い、まっすぐ下ろすのがポイント。
型2つにカットしたものから順にセットしていく。半ナマなので押すと形が崩れやすいため注意する。
隙間をキープするためにフォームボード(ダイソー)を隙間の幅にカットしたものを作って挟み込み黒鍵が動かないようにする。(下まで届かなくても良い)
本作成まではフタをするか、ラップして乾燥を防ぐ。(早めに本作成する)
2日目 本作成 無色生地 1002g分 具材215g+500g=710gぐらい x2ケース分
基本の作り方に従って、苛性ソーダ液を作って冷まし、油脂を量って溶かし、ブレンダーで混ぜる。 緩めのトレースで香料を入れ、軽く攪拌して仕上げる。
少しづつ生地を黒鍵の間に垂らして空気が入らないように型入れする。
ブレンダーを出した後はヘラで随時よく混ぜ、均一でなめらかな生地にする。
生地を全て分け入れたら挟んでいるスペーサーを抜く。
好みでトッピング(黒生地の残りで絞り出した音楽記号などを飾りました)
片方を炊飯器スチームで、もう片方をオーブンで仕上げました。
炊飯器に水200mlを入れてフタをした型を入れ、炊飯器を閉めて保温。
85分 開けてみると中心のみ白く残っていました。
123分 すっかり透明で完成していました。取り出して室温で冷まし、冷めたら冷凍庫へ。
5枚目はオーブンで作成中の様子。周囲が透明になりつつあるところ。
炊飯器スチーム中の生地の温度変化
前回の鹿石けんでは炊飯器の蓋が閉まらなかったので仮フタで作成、温度上昇がゆっくりでいつも2時間ぐらいで終わるところを3時間半ぐらいで低温で透明化したのですが、今回はモニター温度計を斜めにして無理やり炊飯器の蓋を閉めて保温しました。生地温度は75℃まで上がりました。
ガス火で行っていた鍋のスチームは火力調節が思い通りになりにくく、常に観察しなくてはならないし手間がかかったのですが、炊飯器のスチームは保温キーを押すだけでゆっくりじわじわ、しかし確実に温度が上がって行きます。炊飯器の蓋を閉めずに仮フタ(電子レンジ用ドームフタを利用)で保温すると保温力が下がるため、更に低温での透明化が見られました。
ちゃんと蓋を閉めての作成でも、これまでの鍋スチーム法と違い、型の周囲の空気温度よりも生地温度が上がることはなく、温度の逆転は起こらないまま、生地全体が透明化していました。
透明化の終わった石けんは室温で30℃台まで冷まし、冷凍庫へ。
冷凍庫で冷やして型出ししたら、7切れにカット。
ヘリにピーラーをかけ、石けん表面にできた穴にピーラークズを色を合わせて詰め、補修。
流水で軽く洗って表面の余分なオイルや浮いてきたアルカリ分(もしあれば)を流す。
私はシンク横で写真のように立てて1時間ぐらい乾燥させ、表面が乾いたら(底が濡れているので)側面を下にしてトレイに立ててさらに乾燥させています。
キッチンペーパーの上に並べるとグズグズの底の部分がペーパーにくっつき、時間が経つとそのまま乾いて石けんの中にペーパーが入る感じになって取れなくなったりするので注意。
翌日、pHチェック、スタンプしてさらに乾燥。
黒鍵との境目から透明な液が滲み出ていました。pHチェックしたら無反応。
苛性ソーダ成分ではありませんでした。露が出たらペーパーで吸い取って乾燥を続けます。
・・おまけ・・
炊飯器で低温スチームがベスト?
これまで、高温作成でのデメリットは無かった、とどこかで書きました。
でも、先日在庫をチェックしていると、ラベンダー&カレンデュラ石けんに明らかな違いが見られ、調べてみると高温作成したものがどうやら変色したらしいとわかりました。
上段の5切れがくすんでいます 出してみるとこんな感じ 4日後作成のものはキレイなまま
グラフ左が炊飯器低温スチームで作った4日後のもの 生地温度は最高78℃
グラフ右は鍋スチーム 時間がなくて高温で透明化を急がせ、生地温度は最高93℃!
レシピに紅花油を使っているのですが、それが期限切れのいささか怪しいものでした。
4日後のは使用量の半分で古いものがなくなったので代わりにオリーブオイルを足しました。
違いといえばそれぐらい。
つまり、「痛みかけオイル+93℃の高温作成=より早い酸化」 という図式のようです。
酸化して変色したとはいえ、今の所はそんなに臭ったり、汁が出たり、ねばついたりはありません。ただ年季の入った色になり、みずみずしさが感じられずパッと見てテンションが上がらない、というぐらいです。(とはいえ見た目は結構重要ですよね)