アメリカで「プレッツェル」と言うと、ドイツ発祥の茶色くてねじって穴が3ヶ所あるパンとそのパンをミニチュアサイズにしたスナック菓子との両方があって、話していると時々ややこしかったりします。ポテトチップスやトルティーヤチップスの棚に置いてある、スナック菓子の方は種類が豊富で、棒状のものや網目状のもの、太いものを砕いて味付けしたものや、中にピーナツバターが入ったものなどがあります。
どちらも表面が焦げ茶色で、独特の風味があり、食べ始めると止まらない・・
ちなみに、日本で有名なプレッツェルと言えば、もっと薄い色で甘くて口どけの良いアレ。
チョコがかかっていたり、サラダ味とかのポッキーやプリッツですね。
私、今調べるまでこれらが同じ種類のものとは想像もしませんでした。いや〜ビックリ。
さて、このプレッツェルの独特の風味は、オーブンで焼く前に生地をアルカリ溶液に浸けることで出ます。アメリカで石けん作りを始めるにあたって、苛性ソーダを探した時、まずは手近なスーパーなどで購入することを考えました。ネットの書き込みによると、パイプの詰まりを通すための「ドレインオープナー」と呼ばれる薬剤として苛性ソーダが売られているらしい。とあったけれど、最近は規制が厳しくなったのか、小売店では売れらてないようでした。
それでネットの通販で購入することにしたのですが、ボトルには「Food Grade」と書いてあるので、前々から「ん?」と疑問に思っていました。
だいぶ経ってから、プレッツェルを作るために苛性ソーダを探しています、と言うような書き込みを目にして、ああ、これだったんだと納得しました。
いつかは作ってみようと思いながらなかなか実現できずにいたけれど、ついに挑戦してみることにしたのでした。
今日のポイントは3つ。
1、苛性ソーダを食用として使う
2、ラードを使う
オリジナルはバターでなくラードらしいので
3、残ったアルカリ液の中和にホワイトビネガーを試す
参考にしたサイトの記事 : Authentic German Soft Pretzel (Laugenbrezeln) by Jennifer Mcgavin へのコメント欄で、アメリカでパン屋をしているドイツ人が詳しい事を書かれていて、(本場出身者ならではの指摘が色々)その中に「使用したアルカリ液を捨てるときには、1/2量のホワイトビネガー(6%)で中和できる」とあったので、本当かどうか試してみました。
ちなみにレシピは、上記のサイト、「手作りパン工房 島津睦子」、動画「こねるの簡単! 自宅で作りやすい!プレッツェルの作り方! 完全感覚ベイカー」の3つを参考にアレンジしました。
材料を計量し、水は電子レンジで30秒ほど温め40℃弱にする
ミキシングボウルに温水を入れ、砂糖、塩を入れて平面ビーターで手で混ぜて溶かす
イーストを入れて軽くほぐし、粉の半量を入れて手で混ぜ粉っぽさを取る
セットしてStirからミックス開始
目盛りを順に2、4と上げ、1分程ミックス 滑らかな生地に
止めて、残りの粉を全部入れ、同様に手で混ぜて粉っぽさを取る
これはスイッチを入れた直後に粉が周りに飛び散るのを防ぐため
セットしてStirでミックス開始
重い生地で回りにくい 20秒程で止めラードを入れる
セットしてStirでミックス、塊になりうまく混ざらない
30秒足らずで諦めた
台に出し、器具についた材料を集め生地にまとめる
ラード混ざっていないムラのある生地
手で捏ねて仕上げる 固めの生地
ラップして一次発酵
室温23℃、1時間後にフィンガーテストで発酵完了
台に出し、50gぐらいに分割して丸めラップ 16個
20分後、ローテーションで少しづつ生地を延ばす
中央部分は太く残す
45cmぐらいに延ばした
こんな感じに成形して台に並べた
(アメリカ/ドイツ版レシピでは「冷やせ」だったが)
最終発酵の間に アルカリ液の用意
水100gに苛性ソーダ10gを入れ、混ぜて溶かす
容器は金属でなくポリプロピレンを使用
液量を1/3に減らしたので縦長の器にしてみた
振り混ぜて溶けないか、とか撮影とかもたつく
底に塊ができていて崩しながら混ぜることになる
温度は30℃程にしか上がらず
手巻き用ミニしゃもじで沈め、水気を切って天板へ
液量は十分だったので容器は浅型に変えた
天板にテフロン加工?の繰り返し使えるシートを敷く
その上にベーキングペーパーを乗せて生地を並べた
太い部分にクープを入れ、岩塩をふりオーブンへ
200℃(395℉)で20分焼く
焼き色が薄いので220℃(430℉)で5分、余熱で5分弱
やった〜!と思いきや、ペーパーが取れない!
裏から霧吹きで湿らせたり、あれこれやってみる
*水を入れた皿に置き、底を湿らせて取った
パンの底部分がふやけたので再度400℉で5分
結果的には天板にテフロン加工?のマットだけでよかったわけですが、アルカリ液が金属についた場合腐食するかも、と心配でした。マットが天板の半分サイズなので真ん中を重ねて使うことになり、その辺りから下に漏れるかもと思って更に紙のベーキングシートを重ね、水分を吸わせる事にしたのが裏目に出ました。
そう言えば、誰かのレシピにはワックスペーパーとあったけれど、ワックスペーパーは高温で焼く時には溶けたり燃えたりするので使わないし。
裏の紙を取り除くのに思わぬ手間がかかることになりましたが、ドイツ人の人が書いていた通り、このパンは皮がしっかりしていて、水を吸ってふやけているのにピンセットでこすっても崩れない。また、パンの脂分と苛性ソーダが反応して石けん(そう書いてた!)になるので、いいプレッツェルには表面に光沢がある、との事。
石けん表現には同意できないけれど、皮が丈夫なのはその通りだと感じました。
できあがったパンはほんのり甘く、柔らかいけど弾力性もあります。本場の人には砂糖は不要のようでしたが、日本人の私にはこの味はちょうどいい美味しさ。
このまま食べると表面の岩塩がちょっと塩辛すぎるかも。
苛性ソーダの風味は重曹と似ていて、少しほろ苦いような感じです。
日本でプレッツェルを作る時には苛性ソーダの購入がネックで重曹に置き換えているみたい。
浸す時の液ハネなどを考えるとそれで十分な気もします。
今回は浸した後のパン生地を天板に乗せる時、アルカリ液が垂れないようにかなり気をつけて作業し、1滴もこぼさずにできましたがとても疲れました。
「手袋をはめた手で生地を持って液に浸す」と、どのレシピにあったけれど、そうすると絶対にアルカリ液が落ちるとわかっていたので自己流に変えました。(カレーパンでやった、揚げ物の衣つけでいつも行ってる方式)
男性が砂糖なしか少なめ、女性は砂糖ありのレシピだったので、ひょっとして食べる目的がビールのお供限定で考えると砂糖なしになるのかな?なんて思いました。サンドイッチにしたり、そのまま摘んだりするには少し甘い方が美味しく感じられるのでは。
残ったアルカリ液の中和をしてみます
スポイトでアルカリ液、アルカリ液と酢、酢(ホワイトビネガー)を1滴づつ垂らしpH試験紙を入れました。
アルカリ液は濃い青紫(pH13ぐらい)、酢は濃い赤(pH2ぐらい)になりましたが、アルカリ液と酢の同量混合液は橙黄色(6)になりました。
おお〜、コメントの通りだ、と少し感動して片付けたのですが、後で読み直すと酢は1/2量でと書いてあった。早速再度やり直してみました。
アルカリ液2滴と酢1滴の混合液は青紫でした。(pH12ぐらい)あれれ。
おかしいなと酢を一滴追加すると黄色(pH7)に。少しアルカリに傾いたけれど、先ほどとほぼ同じ結果。それより、試験紙が後の追加でも変色する事を初めて知りました。
アルカリ液1滴に酢1滴を垂らすと、こんな風に徐々に変色していきました。
(揺すって混ぜています)
なんで記事と違うのか?よく見ると5%と表記。
記事では6%の酢を使うとあったのでそのせいかな。
ちなみに苛性ソーダ液は3%でした。
いつもの石けんでは30%なので、だいぶ薄い。
それで高温にならなかったのか、と納得しました。
苛性ソーダを水に入れてすぐ混ぜない、なんてした事がなかったので固まった経験がなく、焦りました。
入れたらすぐに混ぜないとダメなのだと身をもって体験。今後は気をつけようと思いました。
今日のパン、反省はモチロン裏紙くっつき事件。
今度同じものを作るとしたら・・
①天板にはテフロン加工シートのみで。
②水分量は少し多め、オイルは先入れで後半の粉入れをStirで回しながら少しづつ足す方式で。
③クープがうまく行かなかったので、成形後に冷蔵庫に入れるのを試してみようかな。
今回はまめちゃん不在です。
チョコチップクッキーを製作中、という感じにしてみました。
棚はずいぶん昔、クリスマス後にドラッグストアで$1で叩き売り?セールの木製のミニ飾り棚をリメイク。好きな小物を作りました。
こういうプレーンな状態で売ってくれればいいのに、あまり可愛くない飾り物がガッチリ貼り付けてあり、それを取るだけで一苦労。
写真のタイプとは別の形のものもあり、貼り付けてあるだけの開かないニセ引き出し。
それもカッターでチマチマ切って外し、リアル引き出しにリメイクしました。
棚はペイントしてみました。小物は収納を考えて、取り外し可能とそうでないパーツがあります。ジンジャーマンは20年前のもので、オーブンに入れっぱなしで焦げてしまったもの。
とても苦労して作ったのでどうにも捨てられない。
でも、こうして見るとやっぱり少しホラーちっくですね。
青い秤、たまたま色のチョイスがこうなった。
老眼を酷使して目盛りをつけ、出来上がったら何故かドラえもんに見えました。