季節はすっかり秋。秋といえば紅葉、紅葉の綺麗な山奥の旅館で露天風呂なんていいなあ、と夢想しているうちになんとなく浮かんだデザイン。かなり難易度高そうだけどやってみようと頑張ってみました。YouTube動画のネルコネコさんの粘土絞り出しテクを見ていて、インスピレーションを得たのがきっかけ。絞り出した粘土はだんだん乾いて固まってくれるからいいけれど、石けん生地は固まりやすいレシピだと先が詰まって出しにくく、絞り出しやすい柔らかめの生地にしたらいつまでも固まらず、盛り上げられなくて高さが出せない。また、絞り出して固まっても完全に石けんになるには数日かかり、なったところでも脆くて壊れやすい。
と悩みどころがいっぱい。
ピアノ石けんの黒鍵部分(文字部分と共用)にココナツオイルではなくパーム核オイルを使ったのはそのあたりの兼ね合いを考えた末の判断でした。
いつものダイソー型の長さは約14cmあるので、その長さの金太郎飴状の文字を作らないといけない。かなりハードル高いです。
固まりやすい生地、先は極細の絞り袋で少しづつ指で押し出して文字を書きます。文字がある程度の高さになったら、冷凍庫に入れて一時的に固めてそれを積み上げてつなげていく計画。最初文字を書くことと積み上げることだけに集中していて後のことはあんまり考えていなかったけれど、完成した文字棒はそのまま型に入れるには壊れやすすぎるし、空気も沢山入りそうだったので筒状の型に入れて文字入り円柱を作ってから、それを型に入れる事にしました。
文字作成、文字入り円柱作成、本作成の3ステップとなりました。
本作は、あまりにも面倒臭くて多分真似する人はいないと思いますが、作成記録として書いてみます。量は私のブレンダーで作れる最小量:ケース一つ分に計算し直しました。
写真は前作の秋のピアノ石けんと被っているものもあり、2個分なので分量は多めです。
#置き換えオプション#
あまりメジャーでないヘーゼルナッツオイル 、パーム核オイル、赤パームオイル、Activated charcoal powder を使わない置き換えレシピで実際に試してみました。最後に付け加えています。
なお、オイルの配合割合(メインオイル、泡立ち、固さ、ひまし油)は具材、本生地共にピアノ石けんと同じにしています。
具材作り方
基本の作り方に従って苛性ソーダ液を作って冷やし、オイルは量って溶かす
オイルに苛性ソーダ液を入れてブレンダーで生地を仕上げる
この生地は特に固まりやすいので少しづつ慎重にミックスする
生地を小分けして、色生地を作る
トレイにラップを敷き、色生地を入れ、ラップを上に乗せ、平らなもので広げた
固まってしまったので流し込むよりも押し広げる感じになった
活性炭粉は飛び散りやすいので写真よりも大きいボウルで混ぜた方が無難
黒生地は絞り袋に入れて先をほんの少しカットする
文字シートにシートプロテクターをかぶせる(厚紙に文字シートを乗せ、ラップをかぶせる)
図案の通りに生地を絞り出す 普通の絞り出しでなく袋の先をつまんで出す*
*非常に面倒くさいです かなりの根気と時間が必要
少しづつ盛り上げていく
1cm〜2cmの高さになり、やりにくくなったら冷凍庫へ入れて固める
固まったものの上に絞り出し、シートから外した文字を乗せる
室温ですぐ溶けて持てなくなるので、作業する分だけ冷凍庫から取り出すのがよい
積み上げてかなり高くなったものは冷凍庫に入れずに室温で鹸化させる
ずれないように竹串などで穴の部分にガイドを入れるとやりやすい
マークは3cm程で室温放置で固め、翌日厚紙*にはめて繋げた(5枚目奥:少し見辛いですが、ラップしたピアノ石けんの黒鍵部分が入った型に乗せています)
*厚紙ホルダー:最後のおまけ参照
#コツは冷凍庫で一時的に固める、又は室温で鹸化させて固めて繋ぐこと
絞り袋の生地も時間が経つと鹸化するが、揉んで絞り出すと使える
翌日でも繋ぐ作業はできるがくっつきにくいので文字ブロックは初日作成
2日目 円柱(文字入り)を作る 1つ分
準備
・筒 プリングルスやお菓子の容器など 使う型に入るサイズのものを用意
・ライナー(フリーザーペーパー)マスキングテープで内側継ぎ目をシール
マスキングテープは白色を 色物は石けんに色が移る
#筒、ライナーは必要な長さ+2cmぐらい(長すぎると文字の位置調節がしづらい)
・二重に折りたたんだラップの上に文字を乗せ筒(ライナー入り)をかぶせる
・文字が動かないようにフォームボードをカットしたもので固定
・ラップをたるみのないように筒に巻きつけてマスキングテープで固定
少しづつ引っ張り上げながらとめ、最後になるべく下の方をぐるっと一周巻く
それでも筒、ライナーが紙なので多少漏れます
(実際は倍量を作成、スイートアーモンドオイルが177gしかなく、紅花油55gを足した)
基本の作り方にしたがって苛性ソーダ液を作って冷やし、オイルは計量して溶かす
オイルに苛性ソーダを入れてブレンダーでミックス 断続使用
緩めトレースで香料を入れてさらに軽くミックスして仕上げる
カップの跡が残るぐらいのトレースで筒に流し込む
筒はトレイに乗せる
空気が入らないように気をつける(入ってしまったら完成後に補修するけど)
私はオーブンで鹸化させました 室温放置なら3日ぐらい? 冷凍庫へ入れ型出し
筒は紙なので端から破って剥がす
型の長さにカットする
色具材を型抜きする こんなに沢山いらないけれど
↓後先になりますが、カットした切れ端の白部分で落款印(らっかんいん)もどきを作りました
Electric bubble gum、Hot pink micaなどをミックス、よく捏ねて小さい四角柱に
3日目 本作成 いつものダイソー型1個分740g ー(2日目で作った具材の重さ分430g)
基本の作り方に従って生地を作る 緩めのトレースで香料を入れる
軽く撹拌して緩めで仕上げ、色生地を作る
少量の生地でヘラですり混ぜる (青も白も)
青生地80g、白生地80g、残りは無地
型を少し斜めにセットして流し込むことに (好み)
(片方は先に具材セット、もう片方は後で押し込む )
3種類の生地を交互に適当に流し入れていく
途中で具材を押し込む
残りの生地を全部入れて表面を整え、トッピング
オーブン加熱(170Fのオーブンに2時間ほど入れる)と炊飯器でスチーム保温加熱
データは炊飯器スチームのみ 水200mlを入れた
プローブを斜めにさして無理に蓋を閉めた
100分で75℃が最高生地温度
いつもは具材が透明化するのにはかなり時間がかかるか、透明にならないのだけれど、円柱部分の透明化の方が早いように見えました。
本生地の方には白の色材が入っているので、無色部分と混同して透明化がわからなかったのかも。(特に顔料の色材部分は不透明)
粗熱を取って冷凍庫に入れ、型出しした直後 底がピカピカに光っているいつもの光景
蓋をすることを忘れてデザインしたので蓋にぶつかって筋がついた
カットする時はいつもドキドキ
ヘリにピーラーをかけ、穴を補修して水洗い、乾燥
翌日pHチェック どの部分もグリーンでした pH10ぐらい
今回はスタンプ前に撮影 手持ちの日本っぽい小物を置いたら変な構図に・・
感想
手書き文字はどうしても微妙に歪んだり太さがマチマチになりますが、それが手作りのいいところ。カットした面にどんな字面が見えるかはお楽しみ。微妙な歪みで湯気の向こうにぼやっと見える雰囲気が出たらいいなと思っていました。ピアノの黒鍵同様に、こちらの文字もだんだん文字の周りが黄色に色づくのを狙っています。
文字部分を筒作成したので白く円形になった部分は「湯桶みたい」
バラバラの文字と記号は「笑ってるみたい」という意見もありました。Thank you!
左側の赤い四角は落款印のつもり。文字入り円柱の字のない部分の切れ端を着色して捏ね直しました。包丁でできるだけ細かく刻んで色材と合わせて捏ねました。白い粒が残るので頑張ってかなり潰して滑らかにしたのですが、完成してから見ると、ある程度粒が残っていた方が文字っぽく見えてよかったかも、と思ったり。
背景のマーブルはお湯をイメージして青と白、無地の3種を交互に流し入れました。2ケース作ったので、片方は円柱と赤四角を先に型にセットしておき、もう片方は何も入れない型にし、同じように流し入れて模様の出方を比べました。
文字が飛んでいる方がセットしていて上から流しかけたもので、ブルーの縞模様が見えます、大きい紅葉が乗っている方は後から円柱を押し込んだもので横縞は見られずグラデーションぽくなっていました。
加熱方法の違いでその後の変色などがあるかもしれないので、これまでと同様にサンプルはずっと観察を続けます。
おまけ 1日目の文字作成レシピを変えて作ってみた
↓オリーブオイル、ココナツオイル、ラードで生地200gを作り、Black oxideで色付け
色材を使う時は炭粉の量の半分でいい
ブレンダー、一旦終了したけれどやっぱり固さが足りずあとでかなり追加しました
パーム核オイルを使わない場合はブレンダーで兎に角しっかりミックス
過熱防止のため時々休ませながらしっかりツノが立つまでトレースを出す
焦らないのがポイント (少し休ませたり)
今回は厚紙に文字シートを乗せてラップを巻いて作りました
文字は1cmぐらいの高さまで重ねて絞り出したら冷凍庫へ
冷凍庫で固めたらカッターナイフで数個づつにラップを切り離す
2個だけ残して冷凍庫に戻す 土台になる方に絞り出す
上に重ね、潰れない程度に軽く押さえてくっつける 冷凍庫へ戻す
次のブロックを出して同様に
だんだん高くなっていく
記号部分はこんな感じ 壊さないようにはめてくっつける
こんな感じで一日置くと固まっていた
#絞り出し袋は結構丈夫で2度目の使用もOKでした
一旦固まった生地でも軽く捏ね(手袋で)袋に戻してよく揉むと再度絞り出し可能
この文字を使って文字直入れの温泉2を作ってみました。
具材は
①文字
②春の鳥ちゃん石けんの残りの青系石けんを細長くカットしたもの
③溜まっていたピーラー屑石けん(白青系)
④奥山石けんの紅葉棒残りは型半分の長さ分しかなかったので、2日目の文字入り円柱の端っこの無地部分と赤系の具材石けんストックとを捏ねて型抜きして一本分に
⑤ハンコ四角柱も作り足したもの、の5種類
トッピングは同じく鳥ちゃん石けんの時に密かに作っていたまめちゃん具材(短い)を7切れに切ったもの、ミニ紅葉に決定
生地はオリーブオイルで。3日目のレシピで作成
文字を直接型にセットしているので「ゆ」の中央などはかなり空気が入って大穴が空くだろうな、と思いつつ生地に屑石けんを混ぜ込んで流し込む
カットするときのガイド方眼紙を見ながらトッピングを慎重に
炊飯器で仮フタでスチーム保温加熱してゆっくり作成
型出ししてカットしたら案の定向こうが見える〜穴だらけ
前出の2日目の文字入り円柱の端っこ生地を刻んだものを詰め込んで補修
ピーラーして水洗い、乾燥
翌日pHチェック 中央文字部分に白くて硬い部分があり、できていないのかと心配でしたが
そこも含めてどの部分もpH10ぐらいでした
↓余った黒生地で色々遊んでみました。(使う予定ないけど、とりあえずMP石けんで固めた)
左側のワックスペーペーに書いた方が右側の包装で使われる厚手のプラスチック?容器に直接絞り出すよりも後で綺麗に剥がせました。
おまけのおまけ
ワックスフリーザーペーパーがない場合のアイデア(未検証)
筒に厚紙で底を作る
内底をプリングルス蓋をカットして作る
ジプロック(写真のポリ袋は内蓋の端で簡単に破れた)冷凍用の厚手のもの
内側に内底を入れ、筒の外側に巻いて袋の左右の端を折りたたみ、円筒形にしてマスキングテープで貼る
内側の継ぎ目のマスキングテープで貼る
・・・これでできるかどうか、計画倒れかもしれませんが。
金太郎飴状の顔を作るのは、難しかったです。粘土と違って石けんでは筒状にしたモチーフは後から伸びてくれない(粘りが少ないため脆くて割れる)ので目鼻の位置にパーツにぴったりな溝を作っておくのがポイント。
14cmの長さには作る気になれなかったのでこうなりました。
ハロウィーン2020版 Witch だけど魔法の杖ならぬブレンダーで・・