1お茶抗酸化テスト石けん 1年後 泡立ち&使い心地
去年の7月に作ったグレープシードオイルとキャノーラオイルの酸化サンプル。そう言えばひまし油を多く入れた初めての配合だったのを思い出しました。
前回からの続きで、傷んだアボカドオイルでの抗酸化テストにどのレシピがいいか探していたのです。作成後1年には少し早いけれど恒例の泡立ちテストをする事にしました。
トッピングに振りかけた抹茶粉末の下も気になるし。
レシピはこんな感じ。配合量が違うのは、瓶に残ったオイルを使い切るレシピにしたから。
これまで、ひまし油は値が張るし、泡立たない(以前の100%単一オイル実験でひまし油だけで作った石けんには気泡力が全くなかった)ので、ココナツオイルやパーム核オイルでできる泡持ちを良くするためだけに入れていました。愛用しているukiukiせっけんライフのシミュレーションでもひまし油を多くすると途端に気泡力数値が下がるので、オイルの3〜5%程度に設定していてそれで十分だと思っていました。
今回初めてこんなに多く入れてみてその結果にちょっとビックリ。なるほど。もこもこで粘りのあるしっかりした豊かな泡立ちでした。ひまし油自体が泡立つわけではないのだけれど、ひまし油を加えることで他の泡立つオイルを助ける働きが半端なくすごい感じ。
気泡力がないことを知らなければ、ひまし油が泡立つ力があると勘違いしてもおかしくないな、と思いました。ただ、私は泡立てネットは使わず、普通の手洗いで使う状態で比べているので泡立ち力は泡だてネットを使うとそれなりにあるのかもしれません。
泡がキープされるのは蜂蜜を入れた時と似ていますが、蜂蜜だともっときめ細かいクリーム泡になる気がします。(オリーブ配合別のテストで実感)
すすぐ時の泡切れもサッと溶けてスッキリ。蜂蜜だとクリーム泡は塊のまま流れて行く感じでしたが、わりとさらっと溶けていました。泡切れは石けんの溶けやすさや固さも関係しそうですが。
溶けやすい石けんではあるようで、早くなくなりそうな気がしました。
石けん表面の抹茶パウダーを取るために20個を次から次へと使って洗いましたが、終わってしばらくして手が乾いた後には石けんかすはほとんどありませんでした。その後の手の状態もギシギシ感はなく、手荒れもなく変化なしでした。ちょっと不思議な感じ。
ローズマリー粉末*入りの石鹸4個が、粉末の粒がふやけて大きくなり、手のひらが擦れて痛かったのはあまり良くなかったけれど、そこはこんなに続けて長時間使う事もないだろうし問題ないかな。
*確かスパイスコーナーのドライの葉をグラインダーで粉にしたような。この粉がもっと細かいものならいいのだけれど、スパイスでも葉の形そのままのドライだったり。ステーキを焼く時に使ったりするので大きい方がいいみたいです。
では、キレイになった石けんを見ていきます。
洗った後↑ 乾いたら表面がツルピカに 洗う直前↓
2021年6月25日↑ 2021年1月8日↓ 一番白いのはどのサンプル?上下で見比べてみて
2021年1月8日半年後↑ 2020年7月6日、7日作成時↓
上面の抹茶粒を取ろうとムキになって洗っていたため、どうもやり過ぎたのか、一皮むけた?石けんはどちらが抹茶側か分からないぐらい。
お茶を使っていない水で作ったものだけがうっすら抹茶の跡が白くなっていました。
いや、これはお茶液を使ったから酸化が防止されていて差がなくなっている?
確かにどちらも左列の水のサンプルの方は抹茶がついていた部分がわずかに白っぽいような。
それから、前回の6ヶ月後の観察ではカレンデュラよりもローズマリーの方が部分的に酸化スポットが見られるものの、石けん自体の色は一番白かったはず。その時の裏面↓
この 裏面で判断したのが失敗だったかな。それにしても、1年であんなに真っ黒だった石けんがこんなに落ち着いた色合いになるなんて。使ったオイルが、傷みやすいというか、半分傷んでるグレープシードオイルとキャノーラオイルというチョイスなのに、ここまで酸化を抑えられているとは驚きました。お茶液石けんはじっくり寝かせて使うのもいいかもしれません。
サンプルは洗ってリフレッシュされたので、またこのまま置いていつか観察する予定です。
お茶は手作り石けんでは緑の色付けのために使う事が多いと思います。実際、私もそうでした。石けん作りを始めたばかりの頃は自然素材で色付けして、綺麗な色を出そうと抹茶、よもぎ粉、クロロフィル、ケルプパウダーなど、いろんなお店で使えそうなものを探し回って集めていました。この中ではクロロフィルが一番濃い緑色になるのですが、酸化しやすいのが難点。抹茶ははなから薄茶色になるし、ケルプパウダーもイマイチ。それで自然素材での色付けには限界を感じてBrambleberryで色材を購入したのでした。
抹茶の緑もクロロフィルなので、当然酸化する、と思い込んでいたけれど、お茶にはクロロフィルだけでなくカテキンも多く含まれていたのでした。
お茶液は苛性ソーダと合わせると真っ黒になるという、あまり嬉しくない変化を起こすので、気をつけて観察しないと実際のメリットがわからないままでした。酸化防止のために添加している人は少ないのでは。
ここは乾燥気味なので、梅雨などのある日本の気候下ではどのくらい効果があるのかはわかりませんが。
2オリーブ配合別実験のサンプル2年後 丸型石けんは100%単一オイル実験
オリーブ配合別は5/13〜25/19作成 前回の6種市松柄石けんの紫の具材にするために取り出したついでに全部観察することに。紫の一部は去年の春のウサギ石けんに使ったので、多少置き場所が違うかもしれませんが、ベースのグループは変わらず。全体的に目立った変色、劣化は見られず、一部分だけの変色です。全体的には徐々に退色しているのかなあ、という感想。
撮影時の明るさ設定などが少し違うようなので色の濃さなどは多少異なります。
左:2019年5月 右:2021年7月
この実験では、室温作成した右端サンプルの変色が多く見られました。特に、オリーブオイルの配合が多い上の方が痛みが激しく、下の49%、33%は割と綺麗なままです。
つまり、オリーブオイルが多いと鹸化が遅く、緩やかに進むので保温しない事もあり鹸化が甘く未反応のオイルが残っていて酸化しやすいのではと思いました。逆にオリーブの配合が少ないとココナツオイルの配合が増えるため、生地の発熱がより多くなり、上に比べてしっかり鹸化されるのだと思います。
というわけで、加熱作成してしっかり鹸化させた方が持ちの良い石けんになっています。一旦冷凍庫に入れて凍らせた、冷凍サンプル(右から2列目の群)も後に加熱作成していて、他と変わりない仕上がりです。
真ん中あたりの蜂蜜サンプルの下の列、オリーブ74の下側は薄いピンク色で、ちょっと怪しげな色になっています。このサンプル群は攪拌不足だったようで、どのサンプルにも表面にソーダ灰が出ていました。ソーダ灰が出ると言うことは、生地ムラができてうまく反応できない部分があったと言う事で、未反応のオイルが石けんに残ることになり、酸化、変色の原因になっている気がします。
この色材は本来は青になるはずなのですが、アルカリが強いとちゃんと色がつかず、グリーンのような色になり、鹸化が進むにつれ青紫になります。生地温度が高いと赤紫になり、ラードの割合が多いと透明度が上がるような気がします。
前の半年後の報告でも書きましたが、オリーブオイル74%の蜂蜜無しサンプルが、まるで蜂蜜入りのように茶色に変色しているのがなぜなのか、よくわかりません。
写真を撮っていて、Time Capsuleの様に眠っているサンプルがあることを思い出しました。
何度かの停電、冷蔵庫の買い替えを経て2年間の冷凍保管を経たサンプル。フタのシーリング能力が今ひとつのようで完全に密封できておらず、水分が少しづつ蒸発したらしい。生地が所々ひび割れています。色から判断すると下のサンプルは薄紫色に変わっていてだいぶ石けんになっている様な気もします。(繰り返しますがこの色材はpHによって変色するようなので)pHテストでは表面のpHは11ぐらいでしたが内部はどうなっているか不明なので炊飯器スチームで加熱しました。
加熱して生地は最高65℃ほどに上がりました。綺麗に全透明化はしませんでしたが、中央部分は透明化したようでした。上の方はグレーっぽい何か変な色です。
水分不足でうまくできていないのかもしれないので少し心配。
底面は生地が縮んで浮き上がっていました。どちらの石けんにも少し黄色っぽい部分があります。加熱と同時に部分的に酸化が始まったとか?まさかね。
pHは加熱前と比べて、少し低め。pH10ぐらい。
2年間の冷凍はちょっと長過ぎでした。家庭用冷凍庫は温度が一定ではないし、タッパーの性能もあるし。
生地冷凍は型が大きいと中心まで冷えきるのに時間がかかり、中心部は鹸化がある程度進んでしまうので全体にムラができて中途半端な状態になりそう。なのでお勧めしません。ジプロックバッグに入れてぺたんこにして、水分を保持できるようにしっかりシール、袋を二重にするなど工夫が必要です。ジプロックバッグに入れるなら、室温放置でも数日〜一週間もあれば石けんになるのであえて冷凍の必要性がないような。
冷凍する時は特に食品と間違えないように細心の注意を払うこと。この観点からすると他の家族がいる場合はやらない方がいいでしょうね。
3 100%単一オイル実験 左:第一期実施日 3/2~10/19 右:その後の写真6/25/21
なるべく当時の写真と同じになるように撮影してみました。再現は難しい
当時のサンプル完成時の写真シートの上に乗せたものはちょっと見難かったですね。
以前のものと見比べると、あまり変化のないもの、変色したものがどれかがよくわかります。
上の3つラード、ココナツオイル、オリーブオイル石けんが削られているのはオリーブ配合実験の泡立ちをレシピと同じ配合のミニ石けんを作って確かめた時のなごり。
ラードが年季の入った色になっていますが、酸化臭はほとんどしません。
シアバターが真っ白で綺麗だったので刻んで具材に使うことにしました。追加実験分で
キャノーラも渋い色合いになっていて、底から白いナニカが現れていました。
ソーダ灰のようで、pHチェックで問題はなさそうでした。ペーパータオルで拭い取って少し乾燥させました。隣の小さい丸いのは先述の「削って固めたミニ石けん」です。
4 第二期 左:実施日7/31〜8/5/19 右:その後の写真6/25/21↓
第二期の方は、おなじみグレープシードオイルのサンプルが何度もリフレッシュのために洗われて、すっかり小さくなっています。
こちらのサンプル群の中ではマカダミアナッツオイルが一番白くて綺麗でした。少し透明感のある白でステキです。なんだか前より白く見えるのは撮影の設定誤差?
赤パームのサンプルがない。何かに使ったっけ?と探し回っていましたが、よく見たら色あせていてそこにあるのに気づかなかっただけでした。匂いはまだうっすらニンジンが感じられるような。右の写真は赤パームの当時写真の上に左が現在の赤パーム、右が白パーム。
下段のラノリン、どうしようもなくてずっと保管しています。半分で色が違うのはカットして一方を泡だて実験に使ったから。グレープシードとラノリンは袋に入れず別に保管。時々チェックしていますが残りは個別にスナックバッグに入れ(ジプロックの最小サイズ)まとめてフリーザーバッグに入れて保管しています。
5 ラノリンの詳細 1/9/21 久しぶりに取り出してみた時の写真↓
相変わらずの獣臭さとキトキト具合、少し触れただけで手に粘着物質がついて不快なこと甚だしく。左上の半液体状に見えるサンプル2を型出ししてみました。
やっぱり、ピーナッツバターにしか見えない。pHテスト。白い粉で覆われたサンプル1はカットして中も確かめてみました。
それから4ヶ月後、5/4/21↑ 乾燥して一応塊になっていたのでまたpHテスト。少しはアルカリ度が下がったような気もするけれど、素手で触る気には到底なれず。
全く泡が立たないわけではないけれど、これは洗っていると言えるのか?
とにかく、手がねちゃねちゃになるのです。テープの粘着部分が手に残った感じといえばわかるでしょうか。少量添加なら保湿力抜群の高性能なステキな石けんになるのか?
ラノリンはウールアレルギーの人には使えないらしいし、匂いからして、あまりハッピーな気分になれそうにないのであまり気が進まないけれど、いつか試す時が来るかも。
これを実際に作ってみる人は多分いないと思うので貴重なサンプルをじっくり見たい人のために・・
左2021年5月の泡立ちテスト時 これは上面で先の泡立ちテストで見えている真っ黒な方は下面、右6月25日 少しづつマイルドになっているのか?キャラメル色、べっ甲飴色に変わってきました。このまま乾燥が進むと、ロージン(松やに)に近くなるような気がします。