楽しい石けん作りラボ

ダイソーのタッパーで石けん作りをしています

湯種テスト ポッタリ湯種とサラサラ湯種、ビーターvsフック、1斤作成

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左写真 左がA 右がB 、右写真 奥右C、手前右D、奥左E、手前左F  (A~F後述)

前回紹介した、湯種ミルク食パン動画を見直していて、タイトルに唐中とあるのは何?Thangzhongって?と疑問に感じて調べてみました。

日本発祥の湯種(材料の一部の強力粉に熱湯を加えて混ぜ、一晩寝かせて熟成させた生地)が主にアジア各国に広まって、作り方も少しづつ変わったようで呼び名が色々。

Thangzhong (唐中は読み?)は粉屋さんのKing Arthur のブログによると「レシピの一部の小麦粉と液体で作るドロッとしたタネ。生地に混ぜ込んで使う。この作業によって小麦粉の中のデンプンが(アルファ化して)より多くの液体を吸うことができるので、パン生地中の水分が増え、焼きたてのパンの食感は柔らかく、長持ちする」との事。

日本のミルクパンのふわふわ食感(羽毛のような!)をアジアに酵母パンの技法として著書で紹介した台湾のイボンヌ・チェンさんの料理本で普及し広まったらしい。湯種、 Thangzhong 共に柔らかいパンを作るためのテクニックだけど、

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とちょっぴり違うみたい。湯種、Thangzhongで検索して見つけたYOSHIさんのブログでは

この2つの詳しい解説がありました。Thangzhong はモチモチではなく60℃ぐらいで作るサラサラしたルー状のゆる湯種だそう。

sengyosyufumississippi.blogspot.com

小麦粉中のデンプン、酵素、タンパク質などが水を加えられて加熱される事で化学変化を起こし、パンがしっとりもちもちやふわふわになるみたい。

デンプンがのり状になり膜の空気保持と生地の保湿がよくなる?、また一晩寝かされる間に酵素がデンプンを糖化してイーストが食べやすい形に作り変える、という感じなのでしょうか?加熱しすぎると酵素は死ぬので糖化は起こらず、タンパク質も変性するのでグルテンを作るタンパク質が壊れる、というイメージに感じました。(素人考えなので正しくないと思うけど)   

King Arthur のサイトには加熱プロセスの理想的な温度は65℃(149℉)とあったので、私の湯種はきっとこちらに近いものだろうと予想してこんなテストを考えました。

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★今回はテストです。詳しい作り方、レシピは前の記事にあります。

<湯種の作成>

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小鍋に強力粉72g、360gの水(先に100g少々でダマをなくしてから)を入れてよく混ぜ、均一な小麦液にして中火で加熱しながらヘラでよく混ぜる。6〜7分。

完成した湯種量は ポッタリ湯種約400g、サラサラ湯種415g。

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強力粉261gとイースト(赤サフ)2gは2つの袋に計量(小さじ3/4を量ったら2gでした)

湯種100gは下(赤ラベル)がポッタリ、上(黄ラベル)がサラサラ、(28℃)

温めた牛乳230g、溶き卵40g、砂糖53g、粉乳9g、塩10gは2斤分をまとめて作り、2等分

バター45gは2等分し、ミキシングボウルに入れ溶かす(先入れ)

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では工程ごとに比べた写真を見ていきます。左からA~F

<液体+湯種+約半量の粉を入れる>

・ビーター(左4つ)はバター入り、この後軽く手混ぜ、Stir(低速)〜スピード4で1分

・フックはバター以外の全材料を入れる

・なめらかなスライム状の生地にする

・3枚目、4枚目は液体量が倍です

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<残りの粉を全て入れ、手混ぜする>

・ビーターはこの後5分休ませる、フックはすぐにStirで1分

・ビーターはStir低速で2分

・3枚目がミスした時ので粉が少ない↓、4枚目は補正時、5枚目 Dは最初から倍量で作る

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<スピード2で混ぜ始め>

・ビーターは混ぜ始め

・フックはスピード2で混ぜ始めた2分後の様子

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<スピード2で3分後>

・E Fのフックはここでバターを投入

・Eは柔らかいバター、Fは溶けたバター

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<4分後、13分後、15分後>

・ビーター4つは4分後

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<捏ね終わり>

・A B 8分、C 6分、D 8分、E 16分 F 17分

・A Bは1斤分なのでうまく生地離れせずねっちゃりしたヌガー状の物体に

・同じ1斤量でもフックは上手くまとまった

・C D が一斤量でもまとまったのかは不明

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<完成した生地の様子>

・A Bはチューインガムの様で粘りがすごい

・C D Eは綺麗に生地離れしてほとんどボウルに残らず

・Fは他より生地が柔らかく、フックを持ち上げると破れた

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<膜チェック>

・薄さ:A 厚め B 薄い C 極薄 D 厚め E 薄い F 薄い

・強度:A ○     B ○     C ○    D X      E ○       F X

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<付録>

1枚目:Cの水分過多で後半6分混ぜたもの。ここまで気づかなかった私

2枚目:急遽倍量のレシピにする。折角材料を分けておいたのに

3枚目:Dの1日後、サラサラ、ビーター生地の粘り具合がすごい

4枚目:粘りもさることながら、べたつきも結構あり手にくっつく他生地はくっつかず

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<一次発酵スタート時>

なんだかんだで同じ様に丸められたら見た目は変わらないような

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<一次発酵終了時>

・Fは写真なし やはり最後は疲れて気が抜けるものです

・Bは勢いよく刺し過ぎて握りこぶしの跡までついた

・Dの生地色(黄色)は光の関係

・手持ちのボウル事情でCは2つに

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<型入れ直後>

・A B はプリッとして延びにくい C D E Fは柔らかめ

・Dは特に柔らかかった

・生地の固さはガス抜きの程度と発酵スピードによる?

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<オーブンに入れる直前>

・二次発酵の後半はオーブンの排気熱を利用して温めた

・A B は勢いが良さそう

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<オーブンに入れた直後>

・余り生地のおまけロール、トラブルで倍量になった生地は4等分してローストくるみを巻き込み、チーズをトッピングして一緒に焼きました

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<365℉  20分後>

・おまけは終了

・食パンは底焦げ防止に敷いた天板を取り(B C D F)、型の向きを変えて3〜5分追加

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<焼き上がり>

・左 A  右 B 、上 C 下 D、E 、 F

・2枚目下のDだけ、見た目がちょっと元気ない感じ 

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<底と側面>

・A B は型から出すと側面が白っぽい

・その割に底は焦げ気味だった 

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<外観>

・当日作成はスライス後、型崩れしたので立てられなくて一緒に撮影できず

・フックの2つの側面、白っぽいのはオーブン温度が低かった?(開け閉めしすぎで)

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<断面>

・A と B、 C、 D、 E、 F

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<1枚の断面>

・A、B、C、D、E、F

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<作成条件など>

・室温17〜21℃ぐらい

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<<まとめ>>

仕上がるまでに紆余曲折はあったものの、結局はどの作り方でもあまり変わらないようでした。今まで、湯種を使わない食パン作りでは上手く膨らまなくてずっしりと目の詰まったパンになりがちでしたが、これだけ安定してこの品質が作れるのはスゴイ。

市販の食パンに遜色ない食パンが家庭で作れるのは嬉しいです。

湯種で検索を続けてみると、「唐中」とは油を使う、とか「湯捏ね」とか書かれた記事もあり、私の作った「ポッタリ」は「湯捏ね」に相当するような。

ポッタリ湯種よりサラサラ湯種の方が生地は柔らかめ(水分量を考えると当たり前か)でベタつきやすいです。

Dのパンだけ外観がイマイチだったのは、一次発酵時に倍量だったため、他よりも温度が高く発酵がより進んでいて生地がさらに柔らか目になっていた所で、型入れ時に触りすぎたのかも。

どれだか不明ですが型入れ時に、端に隙間が多いものに上からつついたような記憶アリ 

A Bの「出来立てを冷ましてすぐの湯種」を使ったパンはオーブンから出した直後はこれが一番。と思ったのですが、型から出すと側面の焼き目が薄く、焼き方が上手くいかなかったようで、翌日しっとり柔らかパンになり、立てられませんでした。(私は固めが好きなのでイマイチの出来と思いましたが人によっては好きかも)

また、スライスした断面にリング状の模様が見え、その部分の目が詰まったように見えました。それまでにも何度かそういうことがあったので、1斤の生地量を減らしたのに。

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左: 謎のリング模様 中: 過去米粉食パン断面 右: 左写真の右側のパンの外観

考えた末、成形の時にきつく巻きすぎないようにしたらキレイになりました。

パン内部の大きな空気穴はガス抜きの仕方が悪いと思ったのですが、生地によって柔らかさが違うのでどれぐらいの押し加減ですればいいのか、微妙なところ。

またパン上面の見た目をよくするには?と悩み、成形時に最初に延ばす面が見える面になるので、くっつきやすい麺棒をあまり使わず、押しすぎないように、かつ大きな泡は潰すようにを心がけて全体を満遍なく手(手袋着用)で伸ばしゆっくり押し広げました。

パン作りで生地をこねる時(フランスパンなどではなく、ロールパンや食パンなど)「適度に弾力があり、膜は薄く破れにくく、手にくっつかない生地」が一番いいのだと思っていました。なので、今回のA、B生地はこれではとても上手く行きそうにないなあと不安だったのですが、元気に膨らんだので驚きました。

アメリカでもほんのり甘くてフワフワの日本のミルクパンのようなパン、キングスハワイアンのパンがありますよね。今や全米で売られているあのパンは1970年代後半からアメリカ本土で売られ始めたそうです。歴史がスゴイです。

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まめちゃん昼下がりのパン作り、の図