我が家で眠っていたお古の炊飯器。一昨年はこれにお湯を入れ、石けんを茹でて加熱作成するのに使ったりしていましたが、お湯で茹でるというのは水漏れや、型の内部の温度差の問題がありちょっとハードルが高かったのでしばらく使っていませんでした。
最近、手作り納豆の発酵のために使ったり、ジプロックチキンの湯煎調理、サツマイモと水を入れて玄米モードでしっとり焼き芋・・など、結構便利に使えることが分かって重宝しています。
前回のラベンダー石けん作成が終わってからデータ整理をしていて、1時間で反応終了はやはり厳しかったな、えらく高温になっちゃった。やっぱりオーブンに入れっぱなしと違って、鍋は温度管理が面倒だな、と考えていました。
ふと、炊飯器の保温機能で最近スチーム?(だんだん水も入れなくなってきています)にして納豆の保温に使っているのを思い出しました。
納豆の場合は、茹でた大豆を高温のまま、納豆菌をまぶしつけて納豆菌以外の雑菌をほとんど殺してから、納豆菌が優勢の状況を作り、40℃ぐらいで保温するらしい。
納豆菌の増殖に適した40℃前後をキープするため、保温スイッチを入れたり切ったりが面倒なのです。(モニター温度計大活躍)
ついオフにするのを忘れて70℃とかになっちゃうのよね、と内心でブツブツ独りごち。
でも、70℃〜80℃で保温できるなら、石けんに使えるのでは??
最初オーブンの代わりの70℃ぐらいの加熱方法=茹でなくちゃ! と思っていたけれど、スチームに変更してるやん・・
あれ?あれ?
ここまで考えたらいてもたってもいられない。
という訳で、続けて同じレシピで同じ石けんを作りました。
多少のトラブル「めでたく?紅花油の残りを使い切ったら少々足りず、オリーブ油を足した」とか、「ラードとココナツオイルを勘違いして入れちゃった」なんていううっかりミスがあったりしましたが、無事に完成しました。
なんだか前よりも綺麗に仕上がっているような・・
レシピや作り方はほとんど同じなので、写真の説明程度にしています。
<具材の準備>
濃すぎた色の補正に前回の削くずなどを混ぜて捏ね、薄めました。(星型の石けんは酸化が激しくなりそうなので入れていません)
ラベンダー花具材の量はその時の色、サイズにもよりますが、7gあればかなり華やかな感じに仕上がります。(ちょっと多いかも)ちなみに今回は5.6g。
カレンデュラ花びらの方は、ラベンダー具材の量と同じぐらいに見た目で入れています。
製品によって萼やら他のものが混じっていたりするので、ざっと見て取り除き、ハサミでざく切りしてある程度細かくしています。
紅花油の残量がわからなかったので、それから計量
不足分はオリーブオイルを足した
苛性ソーダ量、水量は同じで大丈夫
取り違えでココナツオイルが6g入る
ラードを減らしたほうがいいかと200gにしてみた
再計算したら同量で問題なさそうだったので追加
(丁度苛性ソーダは1g多め、水も3g多かったのです)
生地を作って2つに分け、それぞれに具材を入れて混ぜる
ラベンダー具材は後のトッピング用に少し残した
今回は薄いディバイダーを使用
固定に厚紙で型の長さに切り込みを入れたホルダー*を使います
(*くり抜く幅は型と同じ、上下を短めにしてそこに刺す)
型入れが終わったらホルダー、ディバイダーを取る
ボウルやディバイダーの生地も集めて入れる
残した具材をトッピングして飾る
<炊飯器加熱>
準備:フタをして隙間にマスキングテープで目貼り
炊飯器に入れ、水200mlを入れフタして保温スイッチオン
時々開けて透明化具合をチェック
開始から73分後 底面と角が少し透明化
80分後 だんだん透明部分が上方に増える
86分後 白く残った上部中央はだんだん小さくなる
101分後 全透明化 保温オフにしフタを開けておく
型を取り出して室温で冷ます
粗熱が取れたら(40℃以下)冷凍庫へ(加温から6時間後)
冷凍庫で5時間、型出し
上面ヘリにピーラーをかけ、穴を補修
カット、それぞれにピーラー、水洗い
pHチェック pH10、上面中央部分のみ11
上面中央部のみ青っぽい(下の中央)
翌日スタンプ
花具材が偏ったけれど綺麗にできました。
<加熱時の生地温度変化>
オーブン加熱では(ウチのオーブンでは)スイッチを入れて最初の20分少々は庫内温度が設定温度に達して安定するまで、少し高め温度で維持されるようなので*、なるべく予熱が終了してから使用するようにしはじめました。とは言え、最近では変形もの、長ものや手抜き作成の時以外ほとんど使わなくなりましたが。オーブン内は空気が乾いているため、熱伝導はゆっくり。*夜桜石けんの記事参照
鍋でスチーム加熱する場合は最初強火で5分少々加熱し、一気に70℃ぐらいにして目標温度の少し手前で弱火にし、様子見しながらフタをずらしたりして調節しています。ゆっくり加熱して管理するのは時間と手間がかかって大変なので、次第にこういう楽な方法になってきました。
今回の炊飯器加熱では、水と型を入れて炊飯器を閉め、保温スタートしただけ。
温度変化グラフを見ると今までと違い、釜内温度(型の上に置いた)と生地温度にはほとんど差がないように見えます。
大鍋でのスチームと違って炊飯器では釜内が狭く、モニタープローブを斜めに刺さないとフタができないのです。それで角部分も中央部分も底面に近くなり角部分は先が角ではなく、実際には側面のヘリに位置していたのでいつもと少し違うデータになったのかもしれません。
プローブの先は底面に触れないように注意しました。中敷は入れるとフタができないので無し、型を直接炊飯器に入れました。
生地温度が釜内温度よりも高くはならなかったのは初めてかも。
今までのデータと比べます。(2月のは紅花油→オリーブオイルで作成)
2月のデータと比べてみると、生地温度が80℃を超えず、ほぼ同じ100分程で型全体が透明化しています。
前回のスピード加熱では、とにかく早く透明化をと急いだため、加熱は75℃の高めをキープし続けて1時間で終了させましたが、生地温度は最高93℃まで上昇したため冷ますのに時間がかかってしまいました。
<炊飯器加熱の温度変化>
炊飯器加熱時に釜内温度がどう変化するのか知りたくて、先の実験と同条件になるよう、
型に同量の温水を入れて試してみました。
見比べやすいように、二つを並べました。
型に入れた水は石けん生地と違い、それ自体は発熱しないので釜内温度(型の上で測定)よりも40分ほど遅れて温度が上昇していきました。
ラベンダー石けん作成時にピーク付近で釜内温度が下がっているのは、頻繁にフタを開けてチェックしていたからです(型の生地は発熱中で影響なし)
ラベンダー石けんのレシピは高温になりやすいレシピなので作りやすかっただけ?
というわけで、これからは炊飯器加熱で作っていくことにしました。
なんだか、えらく回り道をしたような気がします。
追記:5/3/21 酸化したラベンダー石けんの報告を記事の最後に書き足しました↓
*使う炊飯器は、圧力機能がなく、釜底が平ら、大容量の古いものがおすすめです。
新しいタイプのものは向かないかも。