2020年春の6作(今回のレシピ公開は5つ)の恒例「泡立ち、使い心地テスト」です。
去年の同作品(上段)も保管していたので、それも合わせて比べてみました。
いつもはあまり気にせず、オイルの在庫や気分などで適当なレシピを使っていますが、今回は折角まとめて作るのだし、似た配合でオイルの違いを徹底比較してみようかとレシピを考えました。比べるのはココナツオイルとパーム核オイルの違い、ひまし油の量、シアバターの有無など。というわけで、去年と同じものもあればガラリと変わったものもあります。
*下記の配合の数値はオイル総量を100として計算した%
まず見た目の比較から
1枚目のレモン石けんは、ラベンダー石けん(写真なし)とペアで作ったもの。
使いそびれていた黄色球具材を放り込んでレモン香料を入れたお手軽作品。
去年のコーラルビーチ 石けんのパーム核オイルをココナツに換えたレシピです。
ラード42、ココナツオイルがたっぷり35、オリーブオイル19
日を置くと硬くなるので、スタンプのタイミングが遅れたため、文字の入り込みが悪く、残念なルックス・・最後に気を抜いたのがマズかった。
蛍光ぽいグリーンはBramble berry の Green apple high pH Lab color ですが既に廃番みたい。滅多に使わないけれど、たまに色にじみするのを見越して原液を竹串などにつけてチョンチョンと入れ、あまり混ぜずに型入れしてだんだん色が広がっていくのを楽しみます。
2枚目 春の野ウサギ石けん 去年は卵部分をタピオカストローで作ったけれどまんまるだし小さすぎたかな、と今回は手こねにしたら大きすぎ・・ウサギも顔だけから全身型にして大きくなったから余計に具材が入りすぎになりました。3度目で慣れてきたので実際に型とのバランスをチェックしなかったのが敗因。
まあ、いつも同じじゃないのが新鮮な驚きで、1番の楽しみなのですが。
去年は背景を3層に分け、下から黄色、水色、薄いピンクにしたりとちょっと手の込んだものにしたけれど、今年は余裕も隙間もなかった。
レシピは去年と同じもので、オリーブオイル49、ココナツオイルとラードがそれぞれ24.5。ちなみに春作品の具材は全てこのレシピ。型入れに時間がかかっても生地が固まりにくく、作りやすい。捏ねやすく具材にも使いやすいです。私が調達し易い材料でもあります。
3枚目 花より団子石けん 去年は青空部分に突っ込んだ青板が手抜き感アリアリで気に入らなかったので、そこを青細棒に改良。全体に薄いピンクをマーブルにしていた背景をピンクの散らし多めにしています。団子部分は色が濃かったのか、一年で色褪せたのか。
ちょっとコツがいるけれど、お気に入りのデザインです。香りも好き。
今年のレシピはウサギと同じ。去年のレシピはオリーブオイル33、ココナツオイル25、ラードが33、シアバター7。1/3づつ配合からココナツオイルをその1/4減らし、その分シアバターに変えたもの。
後半1枚目 桜石けん 今年は固まりやすいレシピにしたことで背景のピンクのマーブルがうまく行かず、全体に混ざってしまったのと、散らしカラーミックス が大きめカットで、やけに賑やかな印象になりました。
去年のレシピは先述の去年の団子と同じ。今年のレシピはオリーブオイル、パーム核オイル、ラードを3割づつ同量、ひまし油を少し増やしました(2→6)。上記団子の元の1/3づつに戻してココナツオイルをパーム核オイルに変えたもの。
2枚目 夜桜石けん これだけは去年のものが残っていませんでした。思った色を出すのに苦労したのと中央の白雲を工夫したことで、気持ちは一杯一杯。
レシピは桜石けんで使ったレシピを元に、色分け作成に時間がかかることを考え、パーム核オイルをココナツに換えて少し固まりにくくしました。ラードの一部をシアバターに替えたのは、シアバター効果のチェックのため。
3枚目 カリフォルニア・ベアー石けん 去年の文字のバラバラ状態からは随分よくなり、大成功の今回作。去年は文字の下に赤生地を入れたけれど、少し冷凍してもちょっと層が残ったか?ぐらいの固まりにくい生地でした。レシピはうさぎと同じ生地。文字部分と他を2日に分けて作ることも考えましたが、これ単品でそこだけ作成となると生地量が少なすぎてブレンダーを回せない。何より、分けて作るのは面倒くさい。苛性ソーダ水を多めに作ってストックし、そこから必要量だけ量りとって使う、という技もあるようですが、①以前それを子供がひっくり返して大火傷、という記事を見た、②苛性ソーダ水は蒸発して?少量作成すぎて測定誤差?で分けるといつも足りなくなるのでしていません。
それで、レシピを考え直し、オリーブオイル+スイートアーモンドオイル半々で26、パーム核オイル26、ラード36、残りをシアバターとひまし油で半々6づつにしました。
トレースが出てから固まりやすいレシピにしたので、最初の文字部分に少し時間をかけて慎重に作った後は手早く型入れする作戦。なんとかトラブルなく上手くできました。文字部分の多少の気泡は後で補修できるので、文字の間隔や向きを修正した後はスルーすること。
<それぞれの泡立ち具合>上段 初回、 下段 複数回後
1レモン石けん
・泡立ちやすい、しっかり盛り上がる泡が簡単にできる。泡持ちも良い。
・泡の量はレモン石けんが少し多かったけれど、大きさの違いのせいかな。
2春の野ウサギ石けん
・泡立ちやすいが粘りが少なく、盛り上がりにくい。泡持ちは良い。
・いつもだいたい同じ泡立ち具合。
3花より団子石けん
・初回、今年のは泡立ちにくかった。複数回で差がなくなり先述のウサギと同じになる。
・去年作は泡が盛り上がりやすい。ラードとシアバター?
4桜石けん
・初回、今年のは泡立ちにくかった。複数回行うと少しマシに。
・盛り上がる泡。
5夜桜石けん (去年作はないので全部今回作です)
・こちらも初回は呆れる程泡だたず。複数回後に回復するがあまり盛り上がらない。
・最初は泡立つけれど、集めている間に消えて水っぽくなる感じ。
6カリフォルニア・ベアー石けん
・こちらも初回はちょっぴりしか泡立たず。複数回後に回復する。
・去年のものより泡立ちは少ない感じ。
↓テスト前、テスト直後、ランチ休憩後の乾燥した泡・・・
<手洗い風景>
・夜桜石けんはかき集めないと泡が無い感じ
<ちょっと水多めでできるだけ泡立てる>
できるだけ泡を立てるようにしてみたら、どれもあまり差がないように見えますね。
実際にはレモン石けんは簡単にツノの立つ泡ができるのに、夜桜石けんは水っぽく消えやすい泡のため、ツンと尖った泡の山はどうやっても作れず。
<最初のルールに戻す>
泡だてた全ての量を石けんに移すのでなく、盛り上がる泡になるように手早く作業してみた。
上が去年作(夜桜以外)カリフォルニア・ベアー石けん今年作が急成長の泡立ちに。
実際に手を洗う時は、無意識に泡立つように水をつけ直したり石けんを回したりしていて、よほどの差がない限りは違いには気がつかないかなと思いました。
上に盛り上がる泡か、横に流れ落ちるか、が顕著な違いでしょうか。
盛り上がる泡になるのはひまし油の量?それともパーム核オイル?ラード?
・・・もしかしてステアリン酸の量とか??
色々思い当たるものを調べて比べてみましたが、夜桜がネックになりどれもこれといった決め手がない感じ。
夜桜石けんの泡立ちの悪さ、泡が消えていく感じは秋のお月見石けんに似ています。
あの時も、多層の色付けで色材を混ぜるためにオリーブオイルを追加していたので、そのせいかな、とは思っていました。今回の添加量は285滴で約13g !なので、鹸化率95%で作成したけれど、鹸化率91%のものになっている計算になりました。
何というか、泡ができても集めている間にスーッと消えていく。
いくら頑張ってみても、レモン石けんのような「ピンと角の立った泡」はとうとうできませんでした。
レシピはココナツオイルの含量が多いので結構泡立つ筈なんだけれどな。
さて、何度もテストを繰り返すうちに手がキュッキュッとしてきました。
終わってから、乾いた手を見たら手の甲が真っ白に。(↓お恥ずかしいですが)
石けんカス、金属石けんと言われるモノみたい。もう一度手を洗おうと水に濡らすと、あら?水を弾いている。そういえば、お風呂場の壁などにこういうのが付くと水を弾いていたな、と思い出す。 ネット情報によると石けんカスは肌に残ると保湿にもなる、などと書いてあったりしたけれど、水を弾く→皮膚からの蒸発を防ぐ、という事かな?
私の手はもともとガサガサなので、これが残るとさらにガサガサ度が上がる気がして全然保湿になってないような。
見た目にもあまり気分のいいものではないので、食酢入りの台所洗剤スプレー(掃除用に常備)で洗ってひまし油を塗りました。(最近、ひまし油を直接塗る保湿を試し中)
石けんカスができやすいオイルとか、あるのかな?
自分では何となくステアリン酸が怪しい感じがしています。
という事は、もしかしたらシアバターはあまり入れない方がいいのかも。
シアバター、肌に良い(保湿のために直接塗る場合)とされ、高価だし、スペシャル感があるため(世間のイメージ)、石けんに入れるとすごく特別で良いような気がしていましたが、実際のところはどうなのか少々疑問に思えてきました。
石けんに入れないで直接肌に塗る方が何倍も効果的なのは確実でしょうね。
<オイルの割合比較と作成時の生地温度データ>
オーブン作成は自動温度調節なので入れっぱなしで同条件になるのですが、スチーム作成は鍋温度の管理次第でその都度保温温度が変わってしまうのが悩ましいところです。
(グラフの水色線が鍋内温度)
団子石けんの角データーがないのは、串部分になってしまいプローブを刺せなかったから。型の上下をちゃんと見ておくのだった・・
・赤系と緑系(シアバター含む)が50%を越えると、70℃加熱中の生地温度は80℃近くまで上昇した。
(*ただし、これまでの経験上、トレースが緩いと生地温度は急上昇する傾向があるので一概には言えない)
・オーブン加熱の場合(夜桜石けん2)生地温度は庫内温度と同等だった。これは乾燥したオーブン庫内は熱が伝わるのが鍋に比べて遅いため、温度上昇に時間がかかり、ゆっくり鹸化反応が進むためでは?と思われる。
・どれもピーク付近で透明化するのでピーク後に生地をチェックして加熱を終了。