楽しい石けん作りラボ

ダイソーのタッパーで石けん作りをしています

ラノリン100%で極小バッチ実験 2−8

ラノリンは Susan Miller Cavitch の"The Soapmaker's Companion" にあったレシピで気になっていて、購入したものの、ウールアレルギーの人には使えない事を知り、なんとなく躊躇してお蔵入りになっていた物を初めて使いました。

期限は切れているけど匂いは、いわゆる「獣臭い系」で脂の酸化臭はしなかったのでとりあえず、これでやってみようと。

最初に結果を書くと、今回は上手くいきませんでした。

理由は、

①羊脂と液体ラノリンを同じものだと思っていた

②液体ラノリンの脂肪酸組成などのデータが見つからなかった

③液体ラノリンは油脂でなくワックス(ロウ)だった

 そのため100%の石けんは作れないタイプだった

合計3回も実験したのにミステリアスな物体が次々とできただけ、という不本意な結果となりました。

興味があればどうぞ。

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液体ラノリン   35g

水33%      12.3g

苛性ソーダ97%   4.7g (uki ukiせっけんライフの羊油データを使った)

室温24℃

 

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液体ラノリンは蜂蜜そっくりな形状でした。決定的に違うのは臭い。温まっているせいかちょっと臭う。あんまり気分良くならないな。

気を取り直していつも通りの手順で進めます。攪拌開始すると生地は直ちに重たくなり、フォーマーが回りにくいです。チラ見したら上部に分離しているようなので頑張って混ぜます。

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カバーが邪魔なので外して攪拌しています。飛沫が飛ぶことはないぐらいねっとりした生地でフォーマーも重くてかなりパワーダウンしています。どう見てもピーナツバターそっくり。

型入れもヘラで無理やり押し込んだ感じ。

それでもいつもと同様に進めます。生地は固まってはいるものの湯煎しても透明にならず若干色が濃くなったかな、というぐらいでしたが、95分湯煎を続け、湯温69℃、生地温度70℃で終了しました。

 

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30℃まで冷まして冷凍庫に入れて。湯煎後2時間ぐらいで型出し。なんだかねちゃねちゃする感じ。側面はタッパーごと押しているうちに変形して?一回り小さくなった感じで外れたけれど底面は取れず、台に叩きつけているとこんな風になってしまいました。

pHチェック。 恐ろしいほどの高アルカリ。これは多分残り生地と全く同じぐらい13?

ペーパータオルにつけてみると若干青に緑がかろうじて入っているのがわかるけれど、石けん上では紺色にしか見えなかった。

手についたかけらを洗おうとするとかなりヌルヌルする。石けんじゃなくアルカリのヌルヌルです。これはいけない。何かがおかしい。そのまま乾燥させました。

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 数日経って、石けん表面が今まで見たことがないほど真っ白に。

 ピーナツバターは白カビタイプのチーズそっくりになっていました。

 何がいけなかったのか? 考えてもわからずネットで調べると、どうも羊脂と液体ラノリンは違うみたい。ラノリンで調べ直した鹸化値で計算すると苛性ソーダ量は2.4gとなりました。

 苛性ソーダ量を減らして再びやり直しました。

 

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ピーナツバター状になるのが怖くて、1分で攪拌をやめてしまいました。分離はしていないし、もういいかと。

今回はかなりゆるい生地です。型入れして湯煎。 湯煎30分で生地色は濃くなっていますが、クリームというよりは液体状。

3時間湯煎して湯温76℃、生地温度74℃でもシャバシャバのままなので、湯から取り出してもう一度フォーマーで攪拌してみることにしました。

その後、再び湯煎1時間。状態は大して変わらず。ギブアップ。

室温放置で9時間後に上面だけpHチェックしてみましたが似たような結果でした。

 

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温めるのが悪いのか?とソーダ量をさらに少し減らして2gにし、攪拌時の湯煎をやめ、室温のオイルとソーダ水を室温でしっかり攪拌することに。(2分だけど)

ピーナツバターにマヨネーズを混ぜて作ったソースみたい。

さらに怪しげな液体?になっています。

 

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湯煎はいつも通りに行いました。相変わらずのユルユルな生地。27分後、なんだか層状になっている。 結局77分で前回同様、少し生地は濃い色になっただけで固まらないので湯煎をやめ、室温で数日放置。

 

数日後、2回目と3回目のサンプルは見た目はほぼ同じ。

型の側面を押すとたわむ感じで柔らかい石けん?です。

3回目の方を冷凍庫に入れて数時間しっかり固め、無理して型出ししました。

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結果は同じ。底面のpHはやはり13〜14ぐらいの非常に濃い紺色でした。

石けん(と思っていた物体)を乾燥させるために移動させようとしたのですが、ネッチョリしていて持ち上げられない。仕方なくバターナイフですくい上げ、ラップの上に置きました。 叩きつけた台にはかなりネッチョリ部分が残っていました。

そして数時間後、何気なく見てみると

消えている!

違う、液状化して広がっていたのでした。ラップごと型に戻しました

なんだかかなりおかしい。ほんの少量手についた生地?キャラメル状の物体はねっとりしていて洗剤や石けんで洗ってもキトキトがいつまでも取れない感じ。

なんだかワックスみたいだな。。と、ここまで来てようやく、油脂ではなく、ワックスなのでは?と思い至りその方向で検索してみると、そう書いてあったのでした。

ラノリン=羊脂 と思い込んでいたので、思考が方向転換しなかった。

ホホバオイルはうまく回避したのに、すごいのに引っかかってしまいました。

でも興味深い貴重な体験でした。

 

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次回は第二期最後の サンプルとなります。今度は大丈夫かな?

追記:2023.1月

29ヶ月後の観察レポートがあります

funsoaplabo.hatenablog.com