楽しい石けん作りラボ

ダイソーのタッパーで石けん作りをしています

手作り石けん レシピ別透明化データを探る その3 まとめ

前回のその2の最後に紹介した写真です。(改訂版)

見た目の比較

出来上がったサンプルを全て並べてみました。色がグラデーションになっていて結構キレイです。マイカはピグメント(顔料)よりも軽くて細かく、顔料よりも石けん生地に溶けこみやすいのですが、使用量を一定にするのが難しいです。 

軽すぎて秤では測定できない。小さい0.15ccのスプーンでも、色によっては、すくい方で「ギッチリ」と「フワッ」とでは差が出てしまいます。なので上下で比べるのでなく、左右で比べて下さい。

よく見ると、元々の青色が所々に斑点で残っているのが見えますね。生地の中にダマで残っていた色素が石けんになってから溶けて出てきたのかな。

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 再実験で追加した75L(実は力尽きて省略するつもりだった)と74のハチミツ軍団。

ハチミツの斑入りの有無、74のハチミツ無しの白い柄入り石けんとの比較、香料入りと左側の無しとの比較、などが特に注目です。

 

では、オリーブオイルの配合量の差で透明化する温度と時間はどうだったか? 

レポートします。

 *石けん写真に見える四角い緑などの柄はpH試験紙の跡です 失礼!

1オリーブ75% (パーム)

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初回は強火で一気に加熱。予定していた設定温度より10℃づつ上がってしまいました。慌てて火を止め冷ましている間にも生地温度がぐんぐん上がっていき、なんと84℃に。

火は止めたままだったのでその後、鍋内も生地も冷めていきました。

・70℃、80℃共に生地温度は85℃まで上昇。

・ピーク時、加熱温度よりも15℃、5℃高い。

・開始34分、そのピーク付近でどちらも底部1/3が透明化。

40分後、どちらも全透明化したので終了。 早い!

これで反応は終わったと全ての測定は終了。

室温生地は2日ぐらいデータが必要だと知ったのは全てが終わった後でした。

 

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手違いで生地を作りすぎたので、室温に置いていた残り生地で60℃、70℃に加熱。今度こそはと思いつつ、加熱開始で手が離れたらつい後片付けを初めてしまう私。

で、またまたオーバー。動揺して火を止めた。

しばらく放置するも生地温度も上がらず、透明化もしないので再加熱。

60℃(65℃)と70℃まで加熱してから火を止めました。

再加熱開始の時点で生地温度が50℃近くあったためか、程なく双方共ピークが出ました。(細かくなって見辛いので、このグラフはX軸の縮尺を変えています)

・60℃以下の加熱(すぐ火を止める)では不十分

・その後の加熱状態によってピーク温度が65℃、80℃と大きく分かれた

 ・70分で終了

 ・透明化は少し違っていて、60℃の方が70分、70℃は75分  ←謎です

(一部分の角がずっと白いままだったので時間がかかってしまいました)

 

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2オリーブ74% ソーダ灰らしい白いカサブタ?があるので後に再実験しました

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加熱の加減に慣れてきたものの、それぞれの鍋にはサンプルが2つ入っているので、どのくらい加熱を続ければいいのか悩むところ。

生地温度が設定温度以上になれば火を止めることにしました。

・50℃加熱では冷凍は60℃のピークが出たが、普通サンプルは55℃でピーク不明瞭

・60℃加熱では普通サンプルは早く18分で66℃、遅れて香料入りは51分に70℃

・60℃加熱は香料入りは51分に70℃のピークが出た 

・透明化は一番早くピークが出た60℃普通サンプルはピーク前から、その他はピークを過ぎてから。

・60℃の普通サンプルは多分30分程で終了していたのかも

 

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3オリーブ49%

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生地温度のグラフを見ていて、ピークを出すようにした方がいいのかなと、設定温度でしばらく加熱を続けてみることにしました。

・50℃加熱 冷凍サンプルの方がピーク早く、60分頃67℃ 普通は95分71℃

・透明化は共にピーク前10分頃から始まり、全透明化は冷凍がピーク後数分で、普通はピーク後1時間弱

・60℃加熱 香料入り45分で85℃のピークが出、透明化はその後の52分頃から始まる 同じく普通サンプルも透明化が始まるがピークはだいぶ後の64分で73℃ 同時に全透明化

 

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4オリーブ32%

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前回と同じように加熱は生地温度が設定温度を超えてピークとなり、冷めたのを確認するまで加熱を続けました。

どのくらいで透明化が始まるかの予想がつくようになったので観察もしやすくなりました。

・50℃加熱は冷凍生地はなだらかに60℃まで、普通生地は73℃までどちらも90分ぐらい最高温度となる

・透明化は60分から130分(双方終了)と長くかかる

・60℃加熱では香料が先で40分で61℃になった時に透明化が始まり75分で80℃のピークと同時に全透明化

・普通生地は55分で80℃のピークと共に透明化が始まり終了は74分74℃

 

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5冷凍サンプル4種

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 初めて一つの鍋で一緒に加熱。思った通り誤差が少ないみたい。

・オリーブオイルの多いレシピはピークが低く加熱温度よりも10℃ぐらい

・ココナツオイル、ラードが増えるとピークも鮮明、加熱温度より20℃近く高い

 ・写真 左側はレシピテスト毎に1つづつ作成したもの

 右側はストックしていた冷凍サンプルを同時に作ったもの・・・

保存期間が長かったせいか、生地が縮んで?底に変な模様が出現していました 一つはまだ冷凍のままの物もありますね(左下)

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おまけ

このグラフの赤い2nd 10というのは一度反応が終わった石けん。オリーブ49の50℃加熱で作った普通サンプルを面白半分で入れてみました。

温度変化はオリーブ75、74とほぼ同じでしたが、透明化は部分的にしか見られず。


6、7オリーブ75%、74% ハチミツ入り

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  レシピ1のパームオイルをラードに置き換えるものは省略しようと思っていたのだけれど、丁度74%をもう一度することにしたのでハチミツを添加して少しづつ量を増やしたものにし、ペアにして行うことにしました。(キャスターオイルの有無)

・一回に使用する鍋は一つで同じ温度条件にする、加熱条件を70℃、60℃にする

・普通サンプルは2つ、残りの3つは濃度を変えたハチミツを添加

 

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違いはキャスターオイルのみですが、今回だけではわかりません。

二度目で慣れて、手早くできたせいかもしれません。

加熱はもっと早く90分程で終えていてもよかったような。

 

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さて、以上をまとめます。もう一度ポイントを見直します。

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1加熱温度が高い方が、鹸化反応はよく進む。ピーク温度も高く、透明化も早い

2オリーブオイル含量が高いとピーク温度は低めの傾向 ただし例外もある

3冷凍サンプルは普通よりもうまく反応が進む* 

*ただし、今回は極小型。型が大きいと凍るまでに時間がかかり、中央部はある程度反応が進むと思われ、型全体ではかなりムラができると予想。そういうのを狙った「不思議柄」ならアリかもだけど、あえて冷凍する意味はあまり感じません。

 私が重宝したのは、お絵描き風石けん作成で、レイヤー石けんの層を崩したくない、でも時短で作りたい時や生地を盛り上げて型入れしたい時などです。

<層の保持>

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左 冷凍 赤の層が残っている   右 赤の層が流れ、字もさらに暴れ気味

<盛り上げ生地>

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ボトムの青を崩さない 山部分生地を少しだけ冷凍して冷やす 盛り上げて型入れ、深緑の普通生地を流し込む

冷凍テク、加熱せずに保温のみで作る場合でも使えるかどうか、どなたか試してくださると嬉しいです。失敗した場合の責任は取れませんが。。。

4ハチミツ添加、香料添加では、無しに比べて温度、時間の差はあまりない

5香料添加はくすんだ色になる(取り説通り)

6変色するブルーマイカは生地状態を知る目安に使える

完成生地はミントグリーン→反応が進むと白っぽい薄ピンク→石けんになればラベンダー、加熱作成ではもう少し赤みのある紫色

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1/3づつのレシピ、「オリーブ、ラード、ココナツ通称OLC石けん」での色変化例

 

いくつか、まだ気になる部分がありまして。

・レシピ1で高温、素早く終わったのはパームオイルのおかげでもある?

・レシピ3の60℃が早く終わったのはサラサラ生地によるもの?

・レシピ5冷凍生地のピークの差は生地の保存期間の影響もある?

・香料の有無での差が一定しない(いつも早い、いつも遅いではない)のはナゼ?

 この辺りと、最大のポイントは、

高温作成と低温作成の石けん、酸化はどう違うか? です。

サンプルは近日中に泡立ちなどを調べて、冷暗所に保管して、冬眠??させます。

後日、酸化のレポートと合わせて、気になる部分の確認実験ができればいいなと思っています。いつになるのかは、石けんの変化次第 なので気長に行きます。

 

酸化の具合が解らないとベスト条件がどうなるか決められないですが、今の所は

今回作成したものは全て60℃スチームで70分ぐらいかけて作るのが良い、としておきます。(型のサイズによって所用時間は変わります)

 

 最後におまけ

 ・ハチミツの斑入りの有無について

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左2枚はサラサラめのトレース 右2枚はもう少ししっかり攪拌したもの

出来上がって撮影時に初めてわかったハチミツ入り石けんのツブツブの有無の差はどうやらここがポイントみたい。

ボウルですり混ぜは双方同様にしっかりと行いました。どちらかというとサラサラの方が緑の粒(なぜ緑?)が残っているのが見えたのでよりしっかり混ぜたのに残ってしまいました。

右側は色材を入れたり、生地を分けて香料を入れたりする間にもどんどんトレースが進み、最終のサンプル調製時にはご覧の様にコッテリしたキャラメル状。すり混ぜも生地の粘度が高いせいか、同じ様に混ぜてもハチミツの粒が残らず、簡単に馴染みました。(型ごとに計量、混ぜています)サラサラ生地だとボウルの壁に擦り付けている時、ヘラとボウルのごく一部の接触面しか混ざっていない?粘度が高いとヘラを動かした時にヘラ全体と生地との摩擦??でも混ぜられるのではないかな、多分。

ちなみにサラサラ生地では、ヘラをボウルの壁に擦り付けずに適当にぐるぐる回すだけでは全然混ざらないですよ。それは色材で経験済み。
最初にハチミツを薄めてから入れる方法もありますが、水分を調整するのが面倒(全体でなく一部だけに入れたい場合などは特に)なので濃いまま生地に混ぜ込む方法にしています。今回、かなり混ぜてもトレースが薄い場合は混ざらないようなので、色材のようにもっと少量の生地で完全にすり混ぜて徐々にのばしていく方法が良さそうです。

 

 泡立ち、使い心地などを次回やってみようかな

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