キッチンエイドミキサーでのパン作り、2回目はメーカー指定のドゥフック(フック)と自己流の平面ビーター(ビーター)使用で作り、所要時間、生地の具合、出来上がりなどを比べてみました。
私は購入してすぐに添付のマニュアル通りにフックで作ってみて、美味しいものができなかったので早々に諦め、前回お話しした講師の先生がしていた平面ビーターを使う方法に切り替えたのですが(20年前) 、色々サーチしてみると最近はソフトで柔らかい「日本のパン」に仕上げるレシピや使い方が開発されている様なので、フックで本当にできるのか試してみました。
(なんて失礼な言い方・・でも当時のマニュアル本では読解力の無さ故か、レシピが悪いのか、バサバサのパンしかできなかったので)
結果は、いつもの生地よりも弾力性のあるしっかりした元気な生地ができました!
こまめに写真を撮り、後で時刻を書き出して検証しましたが、ビーターで実際に回す時間はフックに比べると驚くほど少なかったのには驚きました。もう少し長く回しているつもりだったけど案外短かったんだと自分の時間の感覚はアテにならないと思いました。
ビーターで作る方が負荷が大きいかと心配していましたが、実際にフックで作ってみると生地がまとまってくるとマシン全体が揺れ出し、結構な「頑張り具合」を見せてくれたので、そうでもない様子でした。
マシンの使用時間が短いので、パン作りでモーターが熱くなった経験は今まで無く、ネットで見つけた記述で時々連続使用ができない、とか書いてあって、??でした。
フックで作ってみると上部のモーター部分が暖かくなっており、なるほどと納得。
ちなみに今回の分量はいつもの半量なので、粉800gだとどうなるのかは不明です。
材料の計量から焼き上げ終了までの作成時間は4時間半、5時間でフックの方が少し長くかかりました。
途中の工程ではフックの方が早いかなと思っていたので、意外です。
生地の状態が違うため、二次発酵の見極めが難しく、ビーターのは少し短かったのかもしれません。
分量は双方きっかり同じにしたのですが、何故か分割した生地はビーターのは10g多くなりました。ビーターの生地はベタベタで手にくっついて扱いにくく、それでも手粉を使わずに仕上げたので捏ね上げ後の丸めや分割、丸め、成形とずっと苦労しましたが、出来上がりはふっくら。分割してからは二次発酵以外ラップなしで置いていたのですが。
フックの方は捏ね上げ後の丸めから綺麗に仕上げられ、普通に扱える生地でした。(なのでこちらはラップした方が良かったかも、だけど経験上必要と思わなかった)
フックでの捏ね上げで生地が振り回されている様子を見ていたので、あの間に水分が蒸発したのかも?なんて思ったり。
そうそう、よく本に書いてある「捏ね上げ温度」。私に取っては、??のモノでした。
だって、いつもは捏ね上がっても生地温度は上がらないから。
今回、測って見て、フックだと温度が上がっている!ほーこういう事なのか、と目からウロコでした。
出来上がりは大差なく、カットした断面も見分けがつきませんでした。
ただ、生地の扱いが同じ様にできなかったので仕上がりの形が変わったこと、焼き時間の調節で焼き色が変わっているので何となくわかります。
お味の方は、よーく比べてみるとビーターの方が水分含量が多いせいかふっくらで口どけもいい様でしたが、これは焼き加減も関係していそうなので実際は同じかも。
レシピと作り方
*当地の電圧は120Vなので、日本で作る時はマシンのパワーが異なるかもしれません*
<ビーターでの作成方法(記録)>
1、計量
・さとう、塩(ドライミルク)は合わせてよく混ぜておく
(先にダマなどを潰しておくと溶けやすいので)
・卵は別容器に割りほぐす
・バターは別容器に量り、柔らかくしておく
・牛乳は別容器に量り、人肌ぐらいに温めておく
・粉は別ボウルに量る
2、ミキシングボウルに温めた牛乳、さとう、塩を入れ、ビーターを手で持ち混ぜて溶かす
3、卵液を量り足して軽く混ぜる
4、イーストを計量スプーンで加えて軽く混ぜ、ふやかす
5、粉の半量強(だいたいでよい)を入れ、ビーターで粉っぽさが無くなるぐらいまで手混ぜ(マシンでミックスした時に粉が飛び散るのを防ぐため)
6、マシンにセットして
Stir 10秒、Speed 2で25秒、Speed 4で1分ほど
全体が滑らかでスライム状になるまでミックス
(パン生地とはいえ、ゆるゆるなのでSpeed 4でも問題ないかと)
7、止めてビーターとボウルを外し、残りの粉を入れる
5と同様にビーターを持って手混ぜ
8、マシンにセットして
Stir 20秒、そのままバターを加えていく(容器やヘラを落とさない様に注意)1分かかった
9、Speed 2で30秒、壁に飛び散った生地が気になり一旦止めてヘラで生地を落とす
10、Speed 2で30秒、生地の完成 加えた液体40℃、捏ね上げ温度26℃
マシンで捏ねた時間・・・合計3分!?
11、ビータについた生地をヘラで落とし、ボウルの生地をドレッジ*で取り、台に出す
12、生地の状態 少しムラがあるけれど薄い膜状にはなっているのでヨシとしました
13、丸めてショートニングを薄く塗ったボウルに入れ、ラップして一次発酵
今日は同じ条件で、と緊張して手粉なしで作ろうと頑張りました。
<感想など>
いつまでもベタベタで手にくっつく生地で大変でした。結局ドレッジで周囲からたくしこんで何とか形に仕上げ、ドレッジに乗せてボウルに放り込んだ感じ。*ドレッジ、スケッパー、スクレイパーと色々な呼び名があるようです。ずっとスケッパーと呼んでいましたが、買いに行ったらドレッジ、と書いてあって変えた次第。サイズが微妙に違うだけで使い心地が全然違うので、ボウルサイズに合ったものを使うのがポイント。生地の分割には大きいものが便利なんだけど、キッチンエイドのミキシングボウルは底のカーブが急なので小ぶりの12cmのものがぴったり。
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<フックでの作成方法(記録と少々改良)>
1、計量
・別容器にさとう、塩(ドライミルク)を合わせてよく混ぜておく
・卵は別容器に割りほぐす
・バターは別容器に量り、柔らかくしておく
・牛乳は別容器に量り、人肌ぐらいに温め、溶いた卵を量り入れて軽く混ぜておく
2、ミキシングボウルに粉を量り入れ、さとう類を加え、イーストも計量スプーンで量り入れ、フックを手で持ち手混ぜして材料のムラをなくす
(1枚目写真 フックで混ぜさせたら全然混ざってない様子だったので↑上記に改良)
3、セットしてStirで回しながら、卵水を少しづつ入れる 1分かかった
4、Speed 2で9分捏ねる(15分の予定でしたが見た感じで判断)
混ぜ始めると遠心力で伸びた生地がボウルの壁に叩きつけられ、時々タパタパ音がする
底は手の平サイズでくっついていたが、時間の経過と共に徐々に面積が狭くなる
マシン全体が少し揺れている
6分をすぎると中央の一部のみがくっついていてあとの生地は浮いている状態になる
時々底全体が見える様になったので9分で止めた
5、バターを入れる
この方法だとバターは溶かさないほうがいいとわかった
混ぜる時に少々飛び散りました。
6、写真1、2枚目 セットしてStirで混ぜ始める バターの飛沫が飛ぶ・・・3分我慢する
7、少し落ち着いたところで一旦止め、ヘラでフック上部や壁の生地を落とす
8、Speed 2で2分捏ねて生地の完成 加えた液体36℃、捏ね上げ温度28℃
マシンで捏ねた時間・・・15分
9、フックについた生地、ボウルの生地をヘラやドレッジで取り、台に出す
10、生地の状態 先ほどのよりも薄く伸びやすい感じ
11、丸めてショートニングを塗ったボウルに戻し入れ、ラップして一次発酵
手にくっつかないので綺麗に丸められました。
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<おまけ> 他の人レシピでバターを入れる前に生地を落としておくという記載が多かったので、止めたついでにバターを全部入れました。今考えると、それがよくなかったみたい。
多分、生地を落として、Stirで回しながら、少しづつ加えていくと上手くいったんじゃないかなと思いました。
一次発酵の様子。ほとんど加温はしないのですが、室温23℃弱なので少し暖かいコーヒーメーカーの上に置きました。
ビーター:60分=40分+20分(40分でフック生地が来たので場所を譲る)
フック :75分 (ビーター生地の発酵時間を見誤って15分長くなった)
両方の生地が発酵中の間に天板の準備(これ、重ねられて便利なんだけれど、もう売られてないのが残念です)
一次発酵後の写真を並べて比較。
左がビーター 右がフックの生地でフィンガーテストで大きな気泡が盛り上がりました。
生地のカットもドレッジにくっついてやり難いビーターの生地。40gづつに分割して丸める時も手にベタベタとくっつき易いので少し時間を置いて乾燥させたり、ボウルに残ったショートニングをちょっと手につけて滑らせたり、地味に苦労。最後に何故か10gのあまり生地が残りました。微量モードじゃなかったから誤差か、とも思うけれどあんまりにもベタベタだったのでフックの生地の方は乾燥したんじゃ?と思ってしまいます。
フィンガーテストから丸め終わりまで
ビーター:15分
フック :12分
5枚目、フックの生地を丸め終わったら(左側)、右側のビーター生地は既にReadyな状態。
ベンチタイム
ビーター:50分
フック :37分
ビーターの時間が長いのはランチとかフックの分割、丸め作業が入ったためもあるけれど、生地があまり緩んでいなかったので、待たせてしまいました。
成形方法 最初は本通りにやっていたけれど、だんだん我流に変わったかも。
多分、もっと綺麗にできるいい方法があるはず・・なので写真のみで。
一度に伸ばそうとせず、ローテーションで生地を少しづつ伸ばしていくと扱い易いです。
同じようにしたつもりでも生地の伸び方、くっつき具合が違ったので、自然に柔らかくて伸び易いビーター生地は長く伸ばされ、巻き数が多いこんもり型に。
フック生地は弾力があり短めで巻き数が少なく幅広型になりました。
くっつき防止のギザギザ麺棒は最近買ったもので、生地に凸凹が残るのが作っているときに気になりましたが、焼き上がりには膨らんですっかり消えていました。
成形時間
ビーター:30分
フック :24分
卵液の分量は残した分でピッタリ。(始めに水を小さじ1程足しています)刷毛は塗りやすさでは毛のものがいいのですが、よく抜け毛が生地に残ったりするのが嫌で綺麗に洗えるシリコン製を使っています。(でも実は塗りにくい)
ラストの3個は卵液を2度づけしたせいか、気泡ができていました。水分が多くなりすぎて生地が緩んだのかな?綺麗に作るにはやってはいけない事だったみたい・・
二次発酵
ビーター:30分 この間にオーブンの予熱を入れます 385F(195℃ぐらい)
フック :48分
左3枚がビーター、右2枚の写真がフック。
最初のビーターの生地は2つの天板の差があまりなく、二次発酵が終わっていると思ったので、天板2枚を一度に入れて焼きました。15分では少し足りず、5分追加。それでも少し色の薄い焼き上がり。次に同様に20分ビーターの残り3個を焼いたら、焦げ気味に。(入れた量で空気の通りが変わったらしい)
フックの生地は天板ごとに発酵具合が違う様に見えたので一枚ごとに18分づつ焼き上げました。
左側がフック、右側がビーター。
3枚目は最初、比較のためにカットしたのは色白のサンプルでしたが、
焼き加減で変わるのかも、と焦げ気味になったラスト3個の一つに変えました。
断面図は上がフック、下がビーターのものです。
<本日の感想>
フックで作った生地はしっかりとハリとコシのある滑らかで弾力のある生地に仕上がりました。フックで回される生地を見ていて手捏ねに近い捏ねられ方だなと思いました。
ビーターでの捏ね上げは、少しチートっぽいですね。。。
マシンの使用時間は短いけれど、ビーターにくっついた生地を落とすのや、ベタつく生地の扱いで少々時間がかかったりします。場合によっては少し粉を足した方が扱い易いです。
所要時間は比較のための記録で、推奨時間ではありません。(生地の具合を見て調節)
昔使っていたレシピ&作り方ボードを出してみました。左の作り方ボードは木の下処理をあまりやっていないのがバレバレですね・・
ちなみにレシピはミキシングボウルに入れていく順番(ミルクは2番目に繰り上げ!)
ズボラな私はボウルがステンレスだから、とそのままガスコンロに乗せて極弱火でバターを溶かしてから、次々材料を投入していきます。
今回の「バター後入れ」は、私にとって、「すごく丁寧な、特別な作り方」だったりします。
*使っているイーストが強力なタイプの様で、バターを初めから入れても仕上がりにほとんど差がなかったので、この方法にしています。自家製酵母パンを作るときは何となく後入れにしています。使うイーストのタイプによっては後入れがいいかも知れません。