酸化しやすいオイルを使っての実験はこれで3回目。
残っていたアボカドオイル、たまにサラダのドレッシングに使ったりしていたのですが、久しぶりに開けたら少し酸化臭がしました。ちょっと食用には難ありなので、石けんにして使い切ることにします。
これまでの実験で、苛性ソーダを溶かす精製水の代わりにお茶液で作ると、石けんは茶色になるもののけっこう酸化が防げるように感じたので、もう少し詳しくテストしてみました。
これまでの流れ
1、酸化実験ー酸化を早める物質、遅らせるする物質を調べた(グレープシードオイル使用)
・ビタミンEオイル、クエン酸 生地に添加
・抹茶、クロロフィル粉末、ゴールドマイカ 型入れ後に生地にトッピング
・日なた、日かげ 置き場所を変えて保管
1ヶ月後、8ヶ月後に観察してリバッチ(粗く削り、握り固めたのでリメイク?)
酸化を早めた
クロロフィル、日光
酸化を遅らせた
ビタミンEオイル(ただし少し色づく)
クエン酸
抹茶
2、お茶、その他ハーブの抗酸化能力をみる(グレープシードオイル、キャノーラオイル)
・お茶で(精製水の代わりに)石けんを作る
・各種ハーブ粉を生地に混ぜ込む カレンデュラ花、オリーブ葉、ローズマリー、セージ
酸化防止
お茶液(ただしかなり茶褐色の石けんとなる)
セージ粉、カレンデュラ粉、オリーブ葉、ローズマリー粉*の順で効果があった
酸化した部分の少ない順、*各種ハーブ粉から色が出て生地全体が色づくものもあるが、石けんの色はローズマリー粉が一番白かった
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
上の2つの実験結果から、今回は緑茶葉、ローズマリーパウダーの2つを試しました。
お茶液 石けんを変色させず効果を得るには?
・抗酸化作用を持つ有効成分はカテキンらしい
・カテキンは水溶性らしい(酸化を早めるクロロフィルは脂溶性らしい)
ローズマリー
・市販のROE(ローズマリーオイルエクストラクト:酸化防止剤)の代わりに使えないかな?
お茶の抗酸化物質は主にカテキンで水溶性、ローズマリーの有効成分は水溶性と脂溶性の両方のようなので、双方、水とオイルの両方に浸けて浸出サンプルを用意しました。
浸出水:2gの緑茶葉、ローズマリー粉末をそれぞれお茶パックに入れ、小瓶の精製水100gに浸けて冷蔵庫で保存(7日間)長く置きすぎたかも
浸出オイル:ガラス容器に50gココナツオイルと1gの緑茶葉、ローズマリー粉末を入れ、オイルを温めた コーヒーメーカーの保温を利用 〜80℃で1時間保温
その後フィルターペーパーで濾して固形物を取り除く 最初からお茶パックに入れるべきだったかも
これらの浸出水、浸出オイルのそれぞれで石けんを作り、変化をみます。
実験の条件は次の6種類 ←5種類 ⓵浸出オイル⓶浸出水⓷苛性ソーダに1/10浸出水⓸トレース後に1/10添加⓹対照(比較用)でした。
生地は10個分用意しました。緑茶とローズマリーの2種類で8つ、対照1つに予備が1つ。
失敗せず上手くいったので予備には 急遽よもぎ粉で即席水出し(10分浸けただけ)した浸出液を使いました。
お茶液を使った前回の実験では水出しで飲用に使った後の茶葉を70℃のお湯で浸出したのですが、苛性ソーダと合わせた途端に濃い茶褐色の液体になってしまい、完成した石けんはもちろん茶褐色でした。
なので今回は水出しで。それを10倍に薄めたもの、さらに苛性ソーダとの反応がマイルドになるのではとトレース後に加えたものも試します。薄めすぎたら抗酸化作用も弱くなって効き目がなくなりそうだし、はてさてうまく行くかどうか。
作る石けんのレシピ
オイル、苛性ソーダ液共に8個分*をまとめて作り、そこから小分け。
*2個分は浸出オイル、浸出水を使うので個別作成
小分けする時は器具に残って減るため少し多めにしました。
浸出オイル・水 浸出水の方はサンプルによって使用量は7.4g 、0.7gと異なります
浸出オイルのサンプル
浸出オイル5g、ココナツ抜きのオイルミックス16gを合わせる
合わせたオイル21gと苛性ソーダ液10gを混ぜて生地作成
浸出水のサンプル
浸出水7.4gで作った苛性ソーダ液10g、4種オイル21gを混ぜて生地作成
1/10浸出水のサンプル
普通に作った苛性ソーダ液に浸出水 0.7g*添加、オイルと混ぜて生地作成
*約10倍希釈
トレース後添加のサンプル
普通に生地を作り、トレース後に浸出水0.7gを添加、混ぜて生地作成
比較用サンプル
普通に作る
生地の作り方
レシピの分量で分かる通り、いつものケチケチ作成法。マグ保温とミルクフォーマーで1つづつ作って型入れし、できたものから低温オーブン(170℉ / 76℃)に入れて透明化させます。なるべく同じになるように、計量、温度調節、攪拌時間を合わせるようにしました。
オイルと苛性ソーダ液の準備 とにかく量が少ないので誤差を減らすように細かい設定にしたため、慣れるまでややこしくて難儀でした。
オイルは大体40℃ぐらいに、苛性ソーダ液は40℃以下に。攪拌時間は3分間。でもミルクフォーマーの電池がヘタってくるので途中で交換したりで、全く同じというわけには行きませんでした。
完成した生地は温度と量を記録してフタをし、ラベルをつけて温めたオーブンへ。
攪拌に使う容器、フォーマーはその都度洗って水気を拭き、次のサンプル作成、を繰り返しました。
作成時の写真あれこれ
浸出水サンプル:精製水の代わりにローズマリー水(左)と緑茶水(中)に苛性ソーダ3gを入れる
(右)1/10浸出水サンプル:精製水で作った苛性ソーダ液10gに浸出水を0.7g足す
トレース後添加サンプル:滴数ではなくグラムで合わせる事に変更
急遽用意したよもぎ粉の即席浸出水 他の2つと同様粉1gを精製水50gに入れて10分
トレース後の生地に添加する
トレース後添加のサンプルは、もう一度フォーマーで軽く攪拌して型入れしました。
オイルの計量(左)、加温(中)オーブンで低温加熱の様子(右)
サンプルはそれぞれ2時間ほどで順次取り出して室温で冷まし、全部揃ったらまとめて冷凍庫へ入れて一晩。石けんが完全に凍ってしまうと型出しした後に石けん表面が露で濡れるので、数時間で取り出すのがベストなのですがタイミングが合わなくて。
型出しした石けんの表面が少し濡れているのでティッシュペーパーで押さえました。
pHテスト(底面)。どのサンプルも綺麗な緑色(pH10ぐらい)。表面の状態が整った底面でそのまま浸出水を塗布しました。
小さくカットしたペーパータオル片を浸出水に浸し、石けんの上と下に乗せました。
上が緑茶葉(Green tea)、下がローズマリー( Rosemary)。
半日程置いてからペーパーは取り、そのまま置いておきます。
右端はペーパーを取る直前の3時間後のもの。初め薄い緑色だったペーパーは乾くにつれてどんどん茶色く変色していきました。
石けん表面に浸出液をつけたのは石けんに色はつけずになんとかできないか、という悪あがき的試みです。
この写真を撮った時はグレープシード、ローズマリーの抽出ココナツオイルサンプルが入れ替わっていました。なんか変だなと写真を検証したら、どうやら型出し時にラベルをつけ間違えていたみたい。なので薄い緑色の方が緑茶葉抽出オイルサンプルです。
長く石けん作りをしていて初めて体験した「失敗」
絶対やってはいけない悪い見本です。
見た目美味しそうなスイーツ風の怪しげな物体、ローズマリー水で苛性ソーダを溶かす石けんの筈が、集中力が切れて、どうやら苛性ソーダを入れ忘れていたらしい。
写真左から時間を遡って見て下さい。
らしい、と言うのは攪拌後にわかる事なんですけど。こんな風に。
規定の3分攪拌してもなんだか様子が違う。あれ、フォーマーの電池が弱ってるのかなあ、なんて思ってさらに追加で攪拌。そこで気づく。あ、苛性ソーダ、入れ忘れてた。
そして、ダメ元でやってみる。今から足し入れて混ぜたらいいかな・・←よくないです!!
はい。いくら攪拌してもオイルにはちゃんと混ざってくれないのでした。もっと長時間、何時間も混ぜ続ければできるかも、ですが現実的ではないですよね。カップの底にツブツブが残っているのが見えるように生地はシャバシャバした感じ。ヘラで混ぜると底の方は溶け残った苛性ソーダの粒でじゃりじゃりしています。
これではちゃんとできないなあ、と思いつつ、怖いもの見たさでこのまま進めたらどうなるのかを試したのでした。
先の写真のpHテストで試験紙が思ったほど真っ青ではなかったのは、溶け残った苛性ソーダは底に溜まっており上部には反応できなかったオイルが浮いていて上には過剰アルカリ水がなかったから?
型出し前から分離気味でしたが、型出ししたら過剰オイルが流れ出し、石けんはボリュームダウン、乾くにつれて上部にシュガーグレーズのようなものが出現しました。
ローズマリー浸出水サンプルとは相性が悪いのか、最初は7.4gなのに10g量って苛性ソーダ液にしてしまうし、今度こそ、とやり直したら苛性ソーダを入れ忘れで大失敗。
他にも薄め浸出水サンプルはスポイトの滴数で行う計画が、いざやってみたら14滴では0.7gに足りず、使うスポイトの先の形で違うようだったので重さで合わせる方がいいとか、現実は計画通りには行かないアレコレが出てきて、結局翌日も繰り返したのでした。
ローズマリー浸出液のみで作る苛性ソーダ液は赤茶色 できた生地も赤茶色
こちらは緑茶浸出液のみで作る苛性ソーダ液でもっと黒っぽい
次回も引き続きこのアボカドオイルでハーブテストを兼ねた石けんを作ります。
今回の結果はいつ頃出るのか?傷んで欲しくないような、早く結果を知りたいような。
興味があればコメントください。