期限切れのグレープシードオイルを使った実験その2です。
前回紹介した、作成から7ヶ月経った酸化して茶色くなった石けん。
よく見ると一部が白く残っていた・・
その場所は抹茶を振りかけた部分だった、という衝撃的な結果を見て思ったこと。
「水の代わりにお茶を使ったらどうなるかな?」
今まで抹茶粉末を生地の一部に入れて作ったことは何度もあります。一度だけ茶葉をオイルに漬け込んで色を出して使ったことも。
この場合目的は「お茶で綺麗な緑色を出す」ことで、酸化を防ぐために入れるのではないため、変色したら「上手く行かなかった」とがっかりしていました。
結局、綺麗なグリーンに見えるのは型出し直後からわずかの間だけで、あとは茶褐色に退色していくとわかってからは色材を使うようになったので、最近では抹茶を入れることはありませんでした。よもぎ粉と違い抹茶は斑入りにならないし、何よりも葉緑素成分で酸化すると思っていたから。
お茶の抗酸化物質を調べると、どうやら「カテキン」らしい。
「飲用して効果を得るためには、●杯飲みます」という記述が多く見られるので普段飲んでいるお茶にももちろん含まれているはず。
丁度あった、煎茶を水出しした後の茶葉にお湯を注ぎ、淹れたお茶をコーヒーフィルターで漉して使う事にしました。(廃物利用)
レシピはとりあえず手持ちのグレープシードオイルを使い切る事。それにココナツオイル、ラード、ひまし油を足して適当に。
ついでに実験という事で、何か普段はしない変わったことをしようと思い、ひまし油の量を増やしてみました。
さらに追加で抗酸化作用が見込まれるオプションを混ぜ込みます。
カレンデュラ粉末(花びら、萼など混じったミックスを粉砕)、オリーブ葉粉末、ローズマリー粉末、セージ粉末の4種類。
作成は炊飯器に放り込んで一気に作る、いくつかは温度データを取る、などを考慮して、ミニ四角型10個に40gづつ型入れする事にしました。
他に酸化してしまったキャノーラオイル(High heat ~450F)もあったので、こちらも残っている250gを使い切る事にして、同様に翌日サンプルを作成しました。
準備
・お茶液:煎茶15gをパックに入れて水出し後、軽く絞ってお湯200mlで淹れる
液をフィルターで漉して使用
・添加物:右からカレンデュラ粉末(挽いた)
オリーブ葉粉末、
ローズマリー粉末、セージ粉末
・お茶を漉している様子
・サンプル容器:ダイソーのミニタッパー四角型
ネギタッパーのスノコをカットしてグルーガンで穴を開け、温度計のプローブホルダーに
フタもぴったりサイズの穴を開けた(不精してそのまま突き刺したら酷く割れました マスキングテープを貼ってからプローブを差し込み蒸気が入るのを防ぎます)
・ガードはプローブの持ち手部分の重みで抜けたりひっくり返ったりを防止するため
材料、道具一覧(やっぱり最後に抹茶をふりかける事にしました)
苛性ソーダ液を作る
・お茶液は苛性ソーダを入れた直後から褐色になる
・混ぜるとみるみる黒く変色 カテキン(タンニン?)
・精製水のソーダ液と並べたところ
・グレープシードオイルを最後に加えると綺麗な模様が出現
生地作成・小分け、添加物入れ・型入れ
・オイルの混合物をよく混ぜて150gづつに分ける
・精製水の方から作成開始
・つい混ぜすぎてしまい、トロリとしたトレースになってしまう
・40gづつ小分けにしては粉をすり混ぜ、型入れを繰り返す
・お茶液での作成 一部赤っぽい茶褐色の怪しげな色
・こちらも緩めにできず、先と同程度のトレース
・同様に40g小分け、粉をすり混ぜ、型入れする
仕上げ、炊飯器スチーム
・トッピングに抹茶を振りかける事にした
・炊飯器で一気にスチーム作成の計画
・プローブは斜めに差し込む
・型は重ねる
加熱方法
・水100mlを入れ、型を入れてフタして保温スタート
・釜内部温度を型の上に乗せた温度計でモニター
・時々温度をチェックしてサンプルの生地温度がピークになったら透明化チェック
・全体が透明になったら終了
・粗熱を取ったら冷凍庫へ数時間入れ、型出し
・pHテスト 裏面、上面の両方をチェック
・お茶の添加物なしが上面の一部が白色化
生地ムラができたらしい 局所でpH12ぐらい
・他は全てpH10ぐらい
キャノーラオイルで同様に作る
作り方は上と同じなので経過の写真は一部をピックアップします。
今回は薄めのトレースを心がけました。スイッチをこまめにオンオフ切り替えての断続使用で30回ぐらいで終了。40gづつ小分けにして添加物を入れて。
お茶液サンプルの色はやはり怪しげ。薄めトレースで止めて最初の無添加サンプルの型入れはサラサラ。
添加物の粉をボウルですり混ぜているところ。混ぜると生地の一部分が赤っぽい色になる。型入れするとこんな感じ。抹茶のトッピングも同様に。
余りの生地(100gづつ)はジプロックバッグになるべく空気を抜いて、二重に入れました。
炊飯器にセットします。水を入れ、型を全て入れます。温度データ用のものはフタを閉められる様にプローブを斜めに差し込み、隙間とその上に他の型と余り生地のバッグを乗せ、釜内部モニターのプローブも入れ、フタをして保温スイッチオン・・・
4枚目は保温オフにしてから10分後ぐらい(スタートから80分)の様子。余熱と生地自体の反応熱でどんどん鹸化が進んでいきます。
5枚目は全て透明になったので取り出して冷ますところ。
2度目で生地温度変化の傾向がわかっているため、モニタープローブの釜内部は74℃設定にし、石けんは81℃にしてみました。
設定温度になると画面の温度表示は赤字になり、機械のアラームが鳴って知らせてくれます。
グラフには設定温度のラインが入ります。
炊飯器の釜内部が74℃になったら保温をオフにし、余熱で仕上げました。
(型のサイズがいつもの750ml用でも同様にできるのか?また試さなくては)
出来立てホヤホヤの石けん こうして見るとこの色も落ち着いていていいかも
昨日のグレープシードオイルは薄いグリーンの石けんでしたが、今日のキャノーラ石けんはクリーム色。混ぜ込んだ粉末の種類によって斑入りの色合いが少しづつ違っていて面白いです。セージとローズマリーはこの後乾燥するにつれてもっと黒くなるはず。黒くなったら酸化による色の変化は分かりにくい(分からないかも)けれど、匂いとベタつきで判断するかな。
pHテストは裏面は全てpH10ぐらいで昨日と同じでした。
上面は1つだけ局所的に紺色のサンプルがありましたが、他はpH10ぐらい。グレープシードオイルでのpH高めの紺色サンプルは見た目でもグジュグジュの部分で、多分モニターのプローブからの浸水で生地ムラができたか何かかな、と思いました。今日のは見た目は何ともなかったので意外な結果でした。
この部分で何があったんだろう? すぐ横に乗せた試験紙はpH10ぐらいで他と同じ色ですし、温度モニターをしていないサンプルだっただけに不思議です。そのうちにソーダ灰に変わるのかな。
恒例の加熱時の生地温度変化データです
サンプル:通しナンバー、オイル種Grape or Canola、
水分Greentea or Water、
添加物Calendula Olive Rosemary Sageの頭文字
(黄緑の3GGOのデータはプローブの調子が悪くて低め)
炊飯器釜内部温度の上昇速度が違うのは、キャノーラの時は入れたサンプル量が多かったため、生地の発熱もあり早かったのだと思います。(ジプロックバッグの分で200g程)
それぞれのサンプルの生地の温度差は予想通り殆どなく、入れた場所や、プローブの具合で少しずれているぐらい。 オイルの違いでも差はないようでした。
できたサンプルは、水洗いせずにそのまま直射日光の当たらない室内に置きました。(暗くはない)
できたての今はどちらのシリーズも、青臭いような、いわゆる「無香料の石けんの香り」がしていて、懐かしいいい感じです。
作成前のオイルに少しあった酸化臭はすっかり消えています。
結果が出るのにはまだ先になります。半年、一年?わかりませんが、またその時にレポートします。