同じ様に泡立てたつもり。 特に左端の75%サンプルにはひまし油が入っておらず、泡がすぐに消えてしまいます。
ちょっとわかりにくいタイトルでごめんなさい。
このページから読み始めた方には何が何だかサッパリ、、、だと思いますので、
これまでの実験の流れと経緯などをざっと書いておきます。
3月に『極小バッチで100%単一オイル石けんを作る』シリーズで9種のオイルをテストし、それぞれのオイルの特性(鹸化の速さ、加熱鹸化に必要な温度、できた石けんの泡立ちなど)を調べました。その総まとめのグラフがこちら。
見方:青い点は型全体が透明化するのにかかった時間(分)です。
赤い棒は温度計だと思って下さい。その時(全透明化時)の温度です。
・ココナツオイル、キャスターオイル(ひまし油)は他に比べて低い温度で早く鹸化すると読み取れると思います。まだ一度きりのテストなので目安程度ですが。
(過去記事よりhttps://funsoaplabo.hatenablog.com/entry/2019/06/01/161423)
今回の(5月の)オリーブオイルの配合別テストは、上記を応用して
『レシピによって加熱鹸化の条件を変えた方がいいか?』を知るために行いました。
鹸化しにくいけれど、メインで使うことの多いオリーブオイル(上記のグラフで見ると120分、70℃の加熱が必要)の配合を以下の①〜⑤の様に、75%から徐々に減らすことで、鹸化条件はどう変わるかを調べました。
①オリーブオイル75% : Olive75P
②同じレシピでパームオイルをラードに変えたもの : Olive75
③それに少しひまし油を加えたもの : Olive74(以下ひまし油入り)
④オリーブオイル49%: Olive49
⑤32% : Olive32
①はいわゆるマルセイユ石けんと呼ばれる、手作り石けんの王道的?レシピでオリーブオイル以外にココナツオイル(泡立ち)、パームオイル(硬さ)が配合されています。
オリーブオイルの割合が少なくなるにつれて、ココナツオイル、ラード(パームオイルの代わり)の割合が増えることになるので、鹸化の早いココナツオイルの量が増えます。
なので、鹸化スピードは早く、加熱温度もオリーブオイルの多いものよりも低い温度で済み、できた石けんの泡立ちもよくなるのでは?と予想していました。
では、詳しく見ていきます。
今日の泡立ち比べのエントリーはこちら。
左側
・60℃加熱で作った石けん
右側
・室温放置でできた石けん
中央
・75%、49%、32%のサンプルと同じ割合で100%単一オイル石けんを削って捏ね合わせたリバッチ石けん*
(75%のリバッチ石けんはパームオイルでなくラードなので2段目とセットでした)
泡だて方はいちど手洗いしてタオルで拭いた手に、水道水を同じくらいつけ、石けんを持ってだいたい同じ回数を両手でくるくる回して泡だてました。
その後両手についた泡を集めて石けんに乗せました。
↑キャスターオイル(ひまし油)なし
↓3% ひまし油入り 心なしかひまし油ありの方が泡持ちがよさそうな
↑ ↓ ここの泡の差はあまり見られないような。 下は表面に白く斑入りの石けんになったので(ソーダ灰?)再度作り直したのが上。トレースをしっかり出しました。
右上のハチミツ入りはきめ細かい泡の気もするけれど。
どれも、先ほどのひまし油なしよりも元気な泡に感じます。実際、泡立てるのは先ほどのよりも少し楽になりました。
リバッチ石けんも一緒に比べます。↓ 100%単一オイル石けんの泡立ち具合をもう一度復習 ↓
*75%のリバッチ石けんはパームオイルでなくラードでした!なので比べるのは4つ上の最初のペアです↓
オリーブ配合量が減って行くほど泡立ちやすく、きめの細かい盛り上がった泡になりました。 ちょっと最後は疲れて気を抜いてしまったかも。
・全体的に、加熱作成と室温放置との違いは見られなかったように思います。
・リバッチ石けんも予想通り、配合されたオイルの性能と同当分の泡立ちをしているようです。
(なんとなく予想していたので、石けんが変わる度に手は綺麗に洗い流し、タオルで拭いて前の泡や成分が手に残らないように気をつけました。)
最後にハチミツ添加の濃度での比較です。
泡が立ちやすく、泡持ちもよいのでちょっと頑張るだけできめの細かいもっちり泡が作れます。その為、少しの動きの差で写真のように泡の出来が違ってきますが、どれも同じくらいだと思います。
何度か試したのですが、一度ネバネバになったらもう水をつけても泡立たず。
洗い流してからやり直しになりました。
添加量はこのサンプルは生地総量に対して1%、3%、5%ですが、どれも頑張ればもっちりふわふわ泡になるのであまり差は感じませんでした。
強いて言えば、配合が多い方が、よりネバネバになりやすかったような気がします。
もっと量の差をつけないとわからないのかも。
まとめ
・オリーブオイル含量が多いほど泡が立ちにくい
・加熱作成と室温作成の泡立ちの違いはなかった
・リバッチ(配合量が同じ)石けんは同等の泡立ち
・ハチミツ入りは明らかに泡の性質が異なり、細かくクリーミーでもっちりした感じ
・ハチミツ入りの泡は溶けにくく流すと塊で流れて行く感じ
・ハチミツ入りは水分が少ないと粘ついて糸を引く
・ひまし油(74%以下3〜4%配合)について
→ひまし油自体に発泡力は全くないので、ココナツオイルの発泡をオリーブオイルのぬるぬると共に、保持する働きをしていると思われる。
値段も他の3つに比べると高いので3%配合で十分と思っていますが、増やしてテストしてみるのも面白いかも。
おまけ:香りと色について
泡立ちの違いは微妙でしたが、香りではハチミツが加熱されて甘〜い香りになり、香料のバニラオーク(バニラだけれど、結構パヒュームっぽいシックな香り)とミックスされ、おしゃれで素敵なスイーツの香りになりました。
色も、加熱によってカラメル化?して本当にキャラメルみたいに。(私好み)
室温放置の方は色づきが少なく同じ5%添加でもベージュ程度(今日のエントリーを参照)
リバッチ石けんについて
リバッチ石けんは、データをまとめている時に
「オイルの配合で泡立ちが変わるのなら、できた石けんで同じ割合に混ぜたら同じような泡立ちになるのかな?」
と思って、ちょうど3月に作った100%単一オイルの石けんサンプルがあるので、試してみました。
作り方はこんな感じ。
微量モードにした秤の上にボウルを乗せ、10gのミニミニ石けんを作るつもりで
配合量75%なら7.5gという風に所定の石けんをピーラーで削り入れます。
ジプロックバッグの片角に入れ、精製水を3gづつスポイトで入れます。
なるべく空気を抜いて閉じ、戸棚の中(暗所)に数日置き、水分を行き渡らせます。
台の上で麺棒の端で袋を破らない様に押して捏ね、滑らかな生地にします。
必要なら時々袋の口を開けて空気を入れ、袋にくっついた石けんを袋ごとうまく纏め、丸く成形したら取り出し、数日乾かして完成。
少量なので、注意して作業しないとあちこちに付着してサンプルが減ります。
最後に、、、
泡立ちテスト、全サンプルを一度にすると手がふやけました。
室温サンプルは作成10日後ぐらいで、乾燥したら使用しました。
泡立ちテストは日を変えて、数回行っています。
もっと機械的に泡立ちを比べる方がいいかなとも思ったのですが、実際に使う状況にできるだけ近くして比べることにしました。少し客観性に欠けるかもしれません。